伊藤潤二恐怖コレクション 首吊り気球 |
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■公開:2000年 ■製作:オメガ・ミコット ■製作:横濱豊行、三宅澄二、宮崎大 ■監督:小田一生 ■助監: ■脚本:斉藤正勝、三宅隆太、まさきひろ ■原作:伊藤潤二 ■撮影:田辺司、佐光朗、小林元 ■音楽:ZUNTATA ■美術: ■主演:石川伸一郎(悪魔の理論)、馬渕英里何(屋根裏の長い髪)、森中和子(首吊り気球) ■トピックス: ネタバレあります。 |
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伊藤潤二原作のなかから3本を収録したビデオ作品。 「悪魔の理論」 サイコ系学園ホラー。とある高校で同級生の女子生徒・橘実里が浮気してるんじゃないか?と思い込んでしまった男子生徒・石川伸一郎が、体育の授業をサボって彼女の制服に盗聴器を仕掛ける、って、おまえただのストーカーじゃねえのか?というツッコミもものかは、連続投身自殺の意外な原因が暴かれる。録音技師が殺人事件に遭遇する「ミッドナイト・クロス」ってJ・トラヴォルタがイイんだよね!関係ないけど。 「屋根裏の長い髪」 しょーもない女ったらし・北原雅樹にひっかかったちょっと冴えない女・馬渕英里何の執念が生んだ奇想天外なビジュアルエフェクト。「女と髪の毛」は切っても切れない、のだがヒロインがそれを切ってしまうことから恐怖が始まる。長い黒髪というのは怪談映画の小道具としても古来より活用されていた。そうそう落語の「三年目」ってのもあったな、ちょっとカワイイ幽霊の話。「恐怖劇場アンバランス 蜘蛛の女」(1968年制作、1973年放送)にも近いものがあるかも、アイテム違うけど。 「首吊り気球」 設定と見かけのインパクトにおいて3作品中最高の出来栄え。アイドル・初音映莉子が自分の顔をした気球に突然襲われる。「首吊り気球」という人気コミックが現実になったのだ。理不尽な「首吊り気球」がどこまでも追いかけてくるという子供の夢をそのまんま映画にした映画。しかし、美少女(あるいは美女)が残酷な死に様をさらすというのはいつの時代においても、男とブサイクな一般女子が心の奥にしまっているどす黒い嫉妬心を刺激するものである。ところで、こんなところで何やってんだ?根津甚八。 怪奇映画の被害者系主人公は知的レベルが高くてはイケナイ。概ね仕掛け丸見えの手品のようなものだから「アッタマ悪っ!」と客に思われてしまっては負けである。日本のミステリー映画が上手くいかないのは、客がハラハラする前にイライラしてしまうからなので、こうした「いかにも騙されやすそうな」少年少女を主人公にもってくるのは初手から正解というものである。 さて、今回の3作品はストーリーの凡庸さはともかく、近年の映像技術の進歩により漫画の映像化がたやすくなったという状況もあって、見た目の面白さでは全部楽しめた。特にビデオパッケージの場合、3作品が先鋒・中堅・大将というように尻上がりになっているので構成もヨシ。 しかし簡単に人が死ぬ(殺される)よなあ、とちょっと見ていて背筋が寒くなるのは筆者が歳とった証拠かもしれない。「機動警察パトレイバー」が近代映画におけるリアリズムはテレビであることを提言して以来、日常生活においても「現実感」がどんどん遠のいているような気がする。 どんな映画も「時代の鏡」である。 (2003年08月09日 ) 【追記】 2003.08.11:J・トラヴォルタが主演した映画の題名は「ミッドナイト・エクスプレス」ではなく「ミッドナイト・クロス」でした。ご指摘いただきましてありがとうございました。 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-08-11