「日本映画の感想文」のトップページへ

「サイトマップ」へ


女優霊


■公開:1996年

■製作:WOWOW、バンダイビュジュアル、ビターズエンド

■製作:仙頭武則、小林広司

■監督:中田秀夫

■助監:

■脚本:高橋洋

■原案:中田秀夫

■撮影:浜田毅

■音楽:高木健二

■美術:斉藤岩男

■主演:柳ユーレイ

■トピックス:

ネタバレあります。


 この映画はほとんどすべてのシーンが撮影所(にっかつ撮影所、中田秀夫はかつてここで働いていた)の中で完結する。

 昔の怪談映画が田舎の便所のシチュエーションならば、この映画は心霊写真という、最も現代的でリアリティ(それがたとえマスメディアを通じて信じ込まされているだけの代物だとしても)があり、観た人の共感を得るアイテムを採用しているところが上手い。

 映画監督の村井・柳ユーレイは処女作を撮影中。主演女優はかねてから憧れの白島靖代・黒川ひとみ、それと新人女優の石橋けい・村上沙織。ラッシュを見ていたスタッフたちは、見覚えのない女優・小島なおみが登場するあるドラマのシーンを目撃する。未現像のフィルムと思われるそのドラマを村井はどこかで見たことがあると言う。

 実際に目撃されることよりも、フィルムや鏡などに「映り込む」ことで多く登場するこの映画の幽霊は、撮影所の地縛霊であろうか?黒く長い髪の毛をおどろに振り乱しゲラゲラと笑う様子は、生身の人間でも別の意味で思いっきり怖いが、とにかく登場人物に心当たりがない、つまり、何を考えているのかわからないという相手は、それが幽霊ならばなおさら怖いのである。

 幽霊の正体は?たぶんそれは昔、スタア男優に弄ばれた挙句に撮影所で自殺(しかもヒロポン中毒かなんかで)した女優の幽霊なんじゃなかろうか?はたまた、主演作品をオジャンにされて自暴自棄になり線路にダイブした女優の怨念が代々祟ってるのではないか?などこれもまた、マスコミから伝授された情報が恐怖のツボになっている。

 つまりこの映画の映画はストーリーには見るべきものはこれと言ってないのだが、幽霊の「出し方」に妙味があって「それしかない」と言える。どこまで本気なのか?映画そのものが作り物であるから、その作り物の中にさらに作り物が登場しても別に怖くなさそうなもんだが、テレビの影響というのを逆手に取ったアイデアは努力賞モノ。

 この手法をさらに追求したのが「ビデオ」を小道具にした「リング」であって、監督も同じである。

 このほかの出演者、撮影監督に大杉漣、いついかなる役どころにあってもこの人の人間観察力には本当に敬意を表する。主演女優の所属事務所の女社長であり、かつ、すべての出来事を予言した人物として根岸季衣、シャーマン役としてはピッタリ。

 ところで、舞台となった撮影所はにっかつ撮影所である。監督としては思い出深い場所だろうけど、黒沢清の「降霊」のときは、テレビ局は不夜城という違いはあっても、日本大学芸術学部放送学科のスタジオが提供されたのだが、こちらは現役の現場である。よくぞ貸したよなー、と思うがそれだけ「空いてた」んだとしたらちょっと寂しいもんがあるな。

 撮影所の試写室の映写技師役として、にっかつロマンポルノ世代には懐かしい高橋明が登場。昔の映画の語り部としての役どころには思わずニンマリ。

2003年08月03日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-08-03