乱菊物語 |
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■公開:1956年 ■製作:東宝 ■製作:田中友幸 ■監督:谷口千吉 ■脚本:八住利雄 ■原作:谷崎潤一郎 ■撮影:飯村正 ■音楽:団伊玖磨 ■美術:北猛夫、阿久根巖 ■特撮:円谷英二 ■主演:池部良 ■トピックス: ネタバレあります。 |
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室町時代。 弥一・池部良はよそ者だったが仲間の十郎・藤木悠、五郎・石原忠(佐原健二)とともに室の津で働いていた。 室の津の女帝として民衆から崇められていた遊女、陽炎・八千草薫は、しつこく言い寄ってくる大名の赤松上総介・小堀明男の求愛を断るために、かぐや姫のような無理難題を言いつけるのだが、唐人の張恵卿・上田吉二郎(実は日本人で外洋専門の海賊)の手によってこの世にありえないはずの宝物が発見されてしまう。陽炎の侍女、うるめ・北川町子は張恵卿の船に乗り込み、張恵卿が陽炎に興味津々なのを利用してなんとか宝物を奪おうとするが、そこへ弥一が現れ、宝物は瀬戸内海へ沈んでしまう。 弥一は海龍王と名乗り、妖術使いの坊主、幻阿弥・藤原釜足の協力を得て、宝物を無事に陽炎のもとへ送り届ける。顔をあわせた二人は赤松の先代に滅ぼされた一族の関係者であり、かつ、許婚関係だったことが判明。 室の津を陽炎もろともゲットしようと考えた上総介は家臣の久米十郎左衛門・杉山昌三九と悪企み全開モード。祭りの最中に室の津へ宣戦布告する。国盗りの野心にフラれたジェラシーもおまけについた上総介である、もう誰にも止められない。陽炎はお家復興のために遊女となっていたが、昔の家臣たちは、うるめの父親、権太夫・小杉義男を筆頭に凄腕の海賊になっており、室の津の市民も一斉蜂起し上総介を倒す。 谷口千吉監督の後の冒険活劇映画「大盗賊」と「奇厳城の冒険」のルーツ。そして主演の『スケベ良』(注:池部良のこと)を凌ぐ、女好き?な谷口仙吉の最後の伴侶となった八千草薫との出会い作品。 舞台が国内に限定されているのと、主役が池部良(他の二作品は三船敏郎)なので、チャンバラとラブロマンスが主軸である以外は、海賊、野心家の悪役、妖術使い、最後に世界へ雄飛する主人公、など登場人物とメインフレームがよく似ている。 背が高く、運動性能がハイレベルな池部良は海賊との乱闘シーンもこなすし、セクスィーなお尻も丸見えなので、ファンの人は大喜びだろう。ま、例によって例のごとく、棒切れ呑んだような台詞回しや、長い芝居のできないところはご容赦だ。監督もほれ込んだ(ついでに嫁にした)八千草薫の美しさにも感動である。彼女の美貌にノックアウトされたのはなにも「ガス人間」だけではない。 海が舞台となれば期待するのが特撮。夜半にするすると出向する張恵卿の船や、幻阿弥の妖術などシンプルでほほえましい。陽炎をサポートする藤巻・浪花千栄子、多少乱暴者だが人の良さそうな海賊チームに堺左千夫、富田仲次郎、谷晃。 で、蛇足。幻阿弥が妖術で赤松の家臣を煙に巻くシーンの通行人(投げ銭します)、それと、池部良、佐原健二、藤木悠が港で話し込んでいるシーンのはるか後方の人足さん、その他大勢の中に中丸忠雄が発見できるので探しましょう(たぶんそばにいるのはニューフェース同期の松江陽一さん)。この作品では端役、「大盗賊」では敵役、「奇厳城の冒険」では準主役にまで出世するんだから人間先のことはわかりませんな。 (2003年07月06日 ) 【追記】池部良さんが祭りの王様になってみんなの前で演説するシーン。ひじょうに珍しく長台詞。池部さん的には一生懸命喋り終えたのでしょうが、監督のOKがなかなか出ない。そこで池部さん、台詞じゃないのに「おわり!」と叫んだそうです。当然、監督はNGだから黙ってたわけで、それを聞くや否や「なにがOKだあ!」と怒り心頭だったそうです。ヤレヤレ・・・(2010/04/27・追記) |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2010-05-09