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別れの茶摘歌姉妹篇 お姉さんと呼んだ人


■公開:1957年

■製作:東宝

■製作:竹井諒

■監督:本多猪四郎

■脚本:本多猪四郎、竹中弘祐

■原作:

■撮影:栗林実

■音楽:竹岡信幸

■美術:阿久根巖

■主演:扇千景

■トピックス:

ネタバレしてますご注意ください!ネタバレあり


 静岡の片田舎に住む評判の美人娘の回想式メロドラマ。ヒロインの扇千景が国土交通大臣(平成15年当時)になったおかげで日の目を見たと言ってよい、島倉千代子(本人出演あり)の「お姉さんと呼んだ人」をフィーチャーした歌謡映画。しかしこういう映画しかなかったのか?扇千景。

 ヒロインの道子・扇千景はお年頃なのでお兄さんの達夫・平田昭彦(様)は見合い話を見つけてきては紹介するが、道子は地元のイベントで知り合った農業試験場の上野・小泉博に一目ぼれしてしまいデートする。が、なにせ田舎のこと、あっというまに噂が広まってしまい、達夫が持ち込んだ見合い相手かつ後輩の山崎・中丸忠雄の耳にも当然ながら入っていて、達夫としては気が気ではない。

 障害が多いほど当人たちは一直線になるのが恋愛(だからやっかい)、健康を害して東京へ行った上野のあとを追う道子は田舎のブルジョワなので、上野が住むプロレタリアート階級のアパートの住人たちからはイジメられ、金に困って就職口を探すがこれといって取りえも無いので相手にされず、知り合いが斡旋してくれた仕事は東京圏外なのでこれもダメ。八方塞りの道子を救ったのは田舎の小料理屋をたたんで水商売で成功すべく上京中のやす子・北川町子

 道子の居所をかぎつけた(んだろう、たぶん)山崎が来店し道子を呼びつける。田舎にいた頃は気の良さそうなヤツだったのにフラれた途端にどうよ?マジでヤな奴じゃん!山崎ったら!そこはやす子がすばやくフォロー、ヒロインのピンチを救うとそこへ雑誌社の就職口が持ち込まれなんとなくうまくいったかに思われた道子だが、イキナリ上野が死んでしまい、彼女は失意のうちに帰郷し地元の保育園の保母さんになりましたとさ。

 島倉千代子はやす子の妹役で登場、扇千景のことをお姉さんのように慕っているという設定。

 見終わった後、映画のデキがどうこうというより、昭和32年当時のヒロインのセンスにムカつく映画。

 相手の年収くらい想像ついてんなら、家出するときにあらかじめ実家からたんまりと金をちょろまかしてくるとか、転げ込む先の事情を何も察しないヒロインというのは、平成のセンスからすれば単なる馬鹿娘&迷惑女だが、当時の「清純派」の常識ってこんなもんか?家を捨てる決心したくせに母親が包んだ金を受け取るその根性がイライラする。北川町子を見よ!裸一貫で勝負しようとしてるではないか!自分だって余裕ないくせに、ヒロインを助けその代償を一切要求しないなんてまるで神様のようではないか!

 てなわけで、がんばれ!北川町子!と応援したくなっちゃうぞ。あ、ちなみに北川町子はこの後、児玉清と結婚したのである(映画と全然関係ないけど)。

 この内容で1時間、ちょうどいいと言うかこれ以上ひっぱられたらツライと言うか、という感じ。とにかく回想形式だもんで、最初の5分でオチがわかるが、にしても小泉博の死に方が唐突すぎなんで、ドラマチックと言うよりは頭がトランス状態に。ところで何の病気だったんだ?小泉。

 さて、この映画は筆者の知る限り中丸忠雄がクレジットされて公開された最初の作品なので、いったいどれほど初々しいのかチェックしようと思ったがすでに十分、高圧的で押し出しが立派なのが驚き。だてに2年半、通行人やってたわけじゃないな(おいおい)、当時24歳のはずだが存在感ありすぎ。

2003年05月18日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-18