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徳川の女帝 大奥


■公開:1988年

■製作:にっかつ、シネ・ロッポニカ(配給)

■プロデューサー:藤浦敦

■監督:関本郁夫

■助監:塚田義博

■脚本:関本郁夫、高山由起子、志村正浩

■原作:

■撮影:水野尾信正

■音楽:津島利章

■美術:西亥一郎

■主演:竹井みどり

■トピックス:


 東映ピンク映画の伝統を継承したロッポニカのお色気時代劇。

 長期政権を誇る徳川家斉・成田三樹夫は側室40人で30人超の子持ちという絶倫野郎。今日も今日とて若くて美人の側室と夜の営みにレッツゴー。大奥の花沢・西川峰子は中野清茂・夏八木勲と徳川家ゆかりのお寺でラブアフェアをエンジョイ中。なにせこの寺は寺社奉行しか手を出せないのをいいことに大奥のやんごとなき女性たちのラブホテルと化しているのである。さて、清茂は養女にしたお美代・竹井みどりを大奥へ送り込み、将軍の寵愛を得て立身出世を企む。

 お美代はイケてるカラダにガッツのある娘だったので両家の子女ばかりが集まる女の園でコケティッシュな魅力をふりまき、新モノ好きな将軍のハートをがっちりゲット。しかしこれを黙って見ているわけにはいかない大奥のセレブ、若狭・白木万里(す、すごっ!)、滝本・白石奈緒美(こ、こわっ!)たちは、正室の茂子・三ツ矢歌子が可愛がっていた飼い猫を拉致し、生首を斬りとって(きゃあ残酷ぅ)お美代の方の庭石にディスプレイ。当然、疑われるのはお美代の方、しかし清茂が「責任とって切腹します!」という大芝居をやらかしたおかげで命拾いする。

 清茂に対する恋心を捨て、大奥で君臨することを誓ったお美代だったが、その矢先に妊娠が発覚、産休をとっている間に清茂から新しい娘が将軍に献上され、そのコがモテモテになったことを知る。ライバルも引退し、清茂は花沢との愛人関係を清算、ショックで花沢はお堀に身投げ、お美代は大奥で堂々と生きていきましたとさ。

 キャストもゴージャス。絶倫将軍の役どころに成田三樹夫、その将軍に庶民派の女を売って出世するエネルギッシュな悪役のポジションに夏八木勲、寺をラブホテルに改造したやり手住職に浜田晃、お色気に加えて女性客の心に届く男臭さもムンムンである。

 AVで何が不満かと言えば(見、見てんのか!?>筆者)概ね男優がダサいこと。殿方にとってはどうでもいいことかもしれないが、あんなバカ面さらしたのに犯されるなんて夢も希望もありゃしない。映画は大衆に夢を与えてナンボ。その点、本作品は素晴らしく男優のグレードが高い。名和宏でも可だが(筆者の趣味としては)成田三樹夫のマダムキラーボイスで口説かれたら一発で腰がとろけます。それと野心満々な夏八木勲もイイ、ビジュアル的には獣姦テイストだし「八つ墓村」の妖怪化したムードを思い起こして異常性愛気分に浸るのもアリかも(ないない)。

 三ツ矢歌子が圧倒的に綺麗なのだが制度としてのハーレムでも他所の女に旦那が、まして成田三樹夫のような上等なのが寝取られて嬉しいはずが無く、直接手は下さないけれども共犯になってしまう残忍さが顔とミスマッチでイイ。だけど本物の三ツ矢さんはご自分で「すごく気が強いんです」と言ってたんでちょっとハマってたのかもしれない、わりとノリノリ。

 本作品は鈴木則文監督の大傑作「エロ将軍と二十一人の愛妾」の精神的なリメイク。「大奥浮世風呂」で徳川幕府に痛烈なビンタを放った関本郁夫監督、東映ピンク映画に脈々と息づいていた反権力魂にエロさが加わってまさに乱れ咲き。脚本は「メカゴジラの逆襲」でサイボーグ少女の悲恋を描いた高山由紀子。

2003年03月17日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16