真田幸村の謀略 |
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■公開:1979年 ■製作:東映 ■企画:高岩淡、日下部五朗、松平乗道、三村敬三 ■監督:中島貞夫 ■脚本:笠原和夫、松本功、田中陽造、中島貞夫 ■原作: ■撮影:赤塚滋 ■音楽:佐藤勝 ■美術:井川徳道 ■特撮:矢島信男、北坂清 ■イラスト:横尾忠則 ■主演:松方弘樹 ■トピックス: |
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音楽が佐藤勝である。このことだけでなんとなく東宝映画のような品の良さを感じちゃうのは東映の人に失礼だが、あらためて映画音楽の偉大さを実感。 真田幸村が主役の映画といえば1963年、加藤泰監督のミュージカル「真田風雲録」当時は猿飛佐助だった中村錦之助が、本作品ではド悪役の徳川家康に。ちなみに大野治長役は佐藤慶から戸浦六宏へ、こちらは大島(渚)つながり。 関が原の合戦で敗北した西軍に対して、帳面上は豊臣家の家臣だけれど、すっかり優勢になっていた徳川家康・萬屋錦之介は、秀頼・小倉一郎と淀・高峰三枝子のイタイ親子をいつぶっ潰そうかと日々画策中。 九度山に幽閉状態だった真田昌幸・片岡千恵蔵と幸村・松方弘樹が、ひそかに仲間を集めて起死回生を狙っていたところへ爪の先に毒が仕込んであった猫に千恵蔵が引っ掻かれてしまい、松方が腕を切落としたんだけど功を奏さず千恵蔵は死去。残った幸村は、優等生のサブリーダー、霧隠才蔵・寺田農のほか女ぐせのわるい穴山小助・火野正平、正体不明の猿飛佐助・あおい輝彦、海野六郎・ガッツ石松、望月六郎・野口貴史、元野盗の由利鎌之助・岩尾正隆、根津甚八・岡本富士太、筧十蔵・森田健作、朝鮮人のキリシタンである三好伊三入道・真田広之およびその仲間である三好清海入道・秋野暢子、各々が徳川家康に恨みつらみのある連中をかき集め、ヒットマン集団を結成。 家康は秀頼についているしっかり者の加藤清正・丹波哲郎がジャマになったので、清正がペットの虎(本物)と遊んでいるところを襲撃し、鉄の爪で切り刻み、虎に襲撃されたかのような偽装工作をして暗殺。さらに家康は林羅山・金子信雄と天海・香川良らに命じて豊臣家に難癖をつけ、言う事聞かないとわかると大坂城へ大砲を打ちこむという、まるでどっかの大国のようなえげつないテクを用い、ついに大坂城の堀を埋めてしまう。 こりゃどうみても豊臣家に勝ち目がないと見たかつての家臣は、淀とその取り巻き連中、宮内卿局・桜町弘子のヒステリーに乗じてとっとと徳川側へ寝返る始末。いよいよ大坂夏の陣、かきあつめられた浪人たちのなかには、豪傑の後藤又兵衛・成田三樹夫、塙団右衛門・遠藤征慈もいたが、圧倒的な徳川の軍勢を前にしてバカスカ討ち死にして、とうとう大坂城は落城。 仕える家は無くなったけど、真田軍は身を隠して徳川家康の首をひたすら狙う。家康のほうも頭いいから幸村をおびき出そうとするのだが、むちゃくちゃ爆薬仕掛けられて右往左往、幸村の仲間も全員死に、家康も服部半蔵・曽根晴美までも倒されてしまいただ一人、大木の穴ぐらへ身を潜めていたが体力の限界をきたし、ノコノコ出てきたところを待ち構えていた幸村と鉢合わせ。ここに萬屋錦之介と松方弘樹の世代間闘争は直接対決のクライマックスへ突入。勝負の結果は「柳生一族の陰謀」の逆、おまけに、大河ドラマの名作「太閤記」において高橋幸治の演じる織田信長が下郎の首をハネたときの記録を上回るようなロケット状態で錦之介の頭部が空へ飛ぶ。 東映の脇役ウォッチャーにはこの作品はたまらなく嬉しいのではないか。岩尾正隆、野口貴史は助演クラスだし、福本清三に至っては人形になってまであおい輝彦とタイマンを張る大活躍。また、いつも頭が緩いホームレスの役どころなどを得意と知る梅津栄がおどろくほどペラペラと台詞を喋るのもコアな人たちには見どころだ。ちなみに山村親分がちょっと入っている金子信雄のロレツが怪しいのは役作りだ(たぶん)。時代考証とかそういうのはないがしろ、おまけに松方弘樹の幸村も凄くて戦国武将のくせにツルツル顔の若造でイキナリ隻眼になってしまったりする、おまえは伊達正宗かいっ!と通常ならツッコミをいれるところだが、JACがいっぱい出てくるのに師匠の千葉真一が不在なので、なんとなく柳生十兵衛ではないか?という気もするのだが、どうだろう?。 破天荒なミュージカル「真田風雲録」へのオマージュのようであり、中島貞夫監督のデビュー作「くノ一忍法」をデジャヴーさせるようなお色気比丘尼シーンもあり、仰天忍法の特撮あり、「狂った野獣」のような破天荒&能天気あり、ジオラマの特撮あり、とにかく見るものがいっぱいあるので約2時間半の長丁場があんまり飽きることなく過ごせる。強いて欠点をあげるとすれば、ヒロイン的女優2名が不美人なので、必死になる男どもがちょっと気の毒。 しかしよく出たもんだの高峰三枝子。あんまり芝居させてもらってないけど、あの大女優を単なるヒステリーババアにしちゃうところが凄いというか、高級マグロにウスターソースかけて食べちゃうような、モッタイナイと言うべきか。とにかく金はかかってる。のべ人数だけでも馬の数でもクラクラするくらい、CGじゃねえからなっ!生身だぜ!今の時代、かえってこっちのほうが贅沢になっちゃってるのも皮肉な話だが。 妖星ゴラスに乗ってやってきた(らしい)宇宙人(金糸猿)猿飛佐助がふたたび宇宙の彼方に去っていく、ラストの5分はもう、トンでもなく笑えた。そうか、これって時代劇映画じゃなかったんだ、SF映画だったんだ、と最後になってやっとこさ理解。 あ、ってことは佐助が超能力者になっちゃう「真田風雲録」じゃん、やっぱ。 (2003年02月02日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16