突入せよ!あさま山荘事件 |
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■公開:2002年 ■製作:東映、アスミック・エース ■制作:あさま山荘事件製作委員会、他 ■監督:原田眞人 ■脚本:原田眞人 ■原作:佐々淳行 ■撮影:阪本善尚 ■音楽:村松崇継 ■美術:部谷京子 ■主演:役所広司 ■トピックス: |
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1972年、実際に起きた「あさま山荘事件」を警察サイドから当時の実写映像も(ごく)一部交えたプロジェクトX・劇場版。 ああ、やっとこの事件が映画になる時代が来たのかと、四十路の筆者の感慨もひとしお。殉職警官の同僚が「戦友」と言ってたのが印象深く、まだ現場には太平洋戦争の敗残兵が多くいたという時代の空気がよく出ていた。そうだよな、あのとき生まれた子供はもう三十歳になるんだよな・・・。 学生運動が下火になっていた頃、市井の人たちが全然知らないところで闘争を続けていた一派(ここんところはあまり詳しく出てこない)が長野県南軽井沢の「あさま山荘」に管理人の奥さんを人質にして立てこもる。銃砲店から強奪したライフル、2000発を超える弾丸、そのほか爆発物の所有が予測され、事件の長期化が懸念された。 警察庁長官、後藤田正晴・藤田まことは、佐々警視正・役所広司を呼び、人質の保護と犯人逮捕を命じる。応援を快く思わない田舎の警察と本庁との軋轢が現場の混乱を生じさせる。みすみす民間人の犠牲者を出したり、警官にも殉職者が出るなど、解決の糸口が見つからない。焦る現場、盛り上がりに欠ける展開にキレる報道陣。立てこもりグループは家族の説得にも応じない。 誰もがテレビに釘付け、っていうかアレしか放送してなかったんよ、マジで。通常番組全部中止になってたんで、夕方のアニメ番組を楽しみにしてた筆者はヒステリーを起こして画面をクレヨンで塗りつぶして「こんなテレビ、いらない!」と泣きわめいたのである(もちろん、自分で全部、きれいに拭かされましたが)。 なにが起きていたのか日本のほとんどの人は知らなかった、テレビ見ててもよくわかんなかった、それが今やっと「ああ、こうなってたのか」と。この事件については元犯人だった人によると「警官があまりにも不用意に顔を出したので撃った」という。21世紀になって世界各地の戦争を、のんびりと観戦できる時代になった今では当時の対応はあまりにも油断だらけに見えるけれど必死だったのはよくわかった。 て、警察の側から描いてるんだから当たり前ですけどね。奥さんが救出直後に受けたインタビューで「はやく友達と遊びたい(とかなんとか)」というコメントに対して「死人が出てるのに不謹慎だ!」と書きたてたマスコミのことは一切出てこない。国民の代表を自称する人たちは概ね後先のことには無責任だが、被害者の感情に対してもいかに無頓着なのかと驚かされたんだけどそこいらへんも出てこない。神経遣うよね、やっぱ。 想い出は美しいもの。中高年サラリーマンの煩悩に火をつける、大人のための「はたらくおじさん」こと、NHKの「プロジェクトX」は民間人側からこの事件を見ているのでセットで鑑賞するとさらに趣深いものがある。万事、カッコイイ佐々警視正の留守宅を守る奥さん役に天海祐希。 噴飯モノのお偉いさんたちはパターン化していてつまらないが、出演者は伊武雅刀、串田和美、篠井英介、宇崎竜童ら。世代交替がだいぶ進んだことを確認。昔ならここに丹波哲郎、鈴木瑞穂、中丸忠雄・・・・(以下省略)。 しかし、だよ、死人(ていうか殺人)が起きているこの事件が「プロジェクトX」で取り上げられるのはどうしたことだろう?青函トンネルや黒部ダムのような事故死ではなく、殺人である。これを戦死と考えてあえて「プロジェクト」だと言いきるのなら、そのうち戦争そのものが「国家プロジェクト」として称えられるようになりはしまいか? (2003年01月03日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16