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血を吸う宇宙


■公開年度:2001

■制作会社:オメガ・ピクチャーズ、日活、オズ

■監督:佐々木浩久

■助監督:李相國

■脚本:高橋洋

■原作:

■撮影:喜久村徳章

■音楽:ゲイリー芦屋

■美術:遠藤みつお

■特撮:

■主演:中村愛美

■寸評:東宝の「血を吸う」シリーズとは関係無いと思います。


 異文化コミュニケーションもここまでいくといかがなものか?

 女死刑囚の倉橋里美・中村愛美が語る転落人生。里美は自分の娘が誘拐されたと言って警視庁(あ、建物が違う!)に駈けこみます。しかし自宅へやってきた刑事・下元史朗たちに里見の夫、清彦・阿部サダヲは「私たち夫婦に娘はいない」と告げるのでした。

 「発狂する唇」のシチュエーション的続編。霊媒師・由良宜子、FBI捜査官の馬鹿コンビ、成本・阿部寛、ルーシー・栗林知美、よくわかんないけどなんか重要そうな謎のハゲ・諏訪太朗、そして首無し女子高生ズ、てなところが前作からの続投です。

 エロとグロとオカルトとアクション、アバンギャルドでわけわかんないパワフルさもリピートの美学というところなのでしょうか?また60〜70年代に多感な青春時代を過ごされた大人の琴線に触れる演出も見逃せません。オープニングは「宇宙大作戦」(え?「スタートレック」じゃないのかって?当時はこういう邦題だったのよっ!)そしておどろおどろしいタイトルバック「血を吸う宇宙」は東宝のキワモノ映画「血を吸う(人形、眼、薔薇)シリーズ」を連想させてのっけから、胡散臭さの前振りも万全です。

 宇宙人の子供を宿すために利用されたヒロイン。このシチュエーションだけだと「ローズマリーの赤ちゃん」を思い出しますが、てことは阿部サダヲがジョン・カサヴェテスってことでしょうか(個人的に許せませんが>カサヴェデスのファン>筆者)?ま、それはさておき、シリアスとは対極に位置する本作品、死刑執行直前に脱走する里美をなぜかフォローするクンフー軍団の様はまるで「暴動 島根刑務所」の趣もあって、めちゃくちゃ加減が心地よいです。

 セクハラ議員候補の亀山パンチ・上田耕一の所属政党は「自由民王党」、で当然のように主人公とFBI以外(ってこいつらもマトモじゃないですが)は全員怪しい、怪しすぎます。そういう怪しい人たちが「怪しいものではありません」というのがうそ臭くてこの映画シリーズを貫く安価な「浅草の芝居小屋」的味わいを象徴していて、お約束ですがついつい見ているほうとしてはツッコミを入れてしまいます。

 謎の新聞配達役に近代怪談映画の巨匠、黒沢清がゲストで出てます。

2002年09月23日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-22