狂わせたいの |
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■公開:1997年 ■製作:石橋プロダクション ■製作:石橋義正 ■監督:石橋義正 ■原作: ■脚本:石橋義正 ■撮影:石橋義正、岡本孝司 ■音楽:アーティスティック・コンセプツ ■美術:石橋義正 ■主演: |
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関東ではテレ東で放送された「バーミリオン・プレジャー・ナイト」をご覧になれた方はかなりラッキーな方であると申せましょう。「平成のゲバゲバ90分」と申しましょうか、音楽とグロとナンセンスとバイオレンスと不条理ギャグの波状攻撃、さすがキテるなテレ東!と唸らせたあのカルト番組の監督・石橋義正がやりたい放題に作り上げた劇場映画。 男・岡本孝司は若い女と電車に乗っていました。その電車女・三條ちなみがイキナリ胸をはだけるとチリンと鈴が揺れていました。次の瞬間、音量最大で山本リンダがさかりのついた猫のように踊り狂うシリーズの1曲「狂わせたいの」がスタート。これから始まる男の数奇な運命を予感させるような、実にわけわかんないオープニングです。 ほこら女・分島麻実、泥酔しているタクシーの運転手女・丹波橋ミミ、飲み屋の主人・木村真束は天井から滑車で吊るされていて粗相をした女・芦田朋子を折檻しつつ、女も女で帰ろうとする男に包丁を突き付けます。途方にくれた男は包丁で刺され、病院に担ぎ込まれたり、刑務所に送られたり、、、。 モノクロの画面(16ミリ)に展開する馬鹿馬鹿しいエピソードはドリフ大爆笑における「もしも・・」のコーナーを彷彿とさせますが、男は最後まで「だめだこりゃ」とは言いませんでした(当たり前ですが)。どんどんエスカレートしていって最後はループになって、悪夢再び?っていうところで「そんなアホな!」うん、間違いなくこれってナンセンスコントのオチですよね。 出てくる楽曲も山本リンダ、中村晃子、金井克子っていうエロい美人(当時)歌手のヒット曲、完全に時代を間違っちゃってます。今考えるとこの人たちの歌の歌詞ってのがかなりキテるんですよね。「ぼやぼやしてたら私は誰かのイイコになっちゃうよ」とか「ふるえる指でホクロの数を一から数え直して」とか、今じゃテレビで流すの相当に難しいんじゃないですかね。 この映画には裸と血糊をふんだんに用いつつもどこかに上品な笑いの軸足を保ちつつ、関西っぽい(関東人<筆者が考えている関西っぽさですが)非常識さがギラギラとしています。それでいて(なんだか「美味しんぼ」みたいでちょっとアレですが)垢抜けてるんですね。そしてタレントにおもねらない芸人魂って言いますか、ちゃんと訓練されている人たちのパフォーマンスはいまどき大変に新鮮です。 ペーソスではなく、人間の心の中にあるある種のどす黒い性根をエネルギッシュにこれでもかと見せ付けるのではなく、日常にさりげなく潜む狂気のエアポケット、そうですねこの映画、ある意味SFなんでしょうね。 この映画見たらもう一人、真性狂気の求道者・石井輝男監督の「江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間」見たくなりましたね。そう、土方巽と、あの、不条理の中の不条理男・吉田輝雄の「お母さあーん」を。 (2002年05月29日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16