色暦女浮世絵師 |
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■公開:1971年 |
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この映画は18禁なので良い子の皆様はご覧になれません。 にっかつロマンポルノには撮りたくても撮れない作家の窮余の一策というか執念というか、いやむしろ愛情がほとばしってンですね、卑下するわけではないですがアダルトビデオにもそれなりのものはあろうかと思いますが一緒にしちゃうのっていかがなものか?と思います。 江戸の下町にある長屋在住の売れない絵師、雪英・福島むつおの妻、おせき・小川節子は病弱な亭主のために向島まで薬草を摘みに行く途中、遊び人の清太郎・前野霜一郎に襲われてしまいます。時が経ち、近所の人も雪英も事件のことには触れなくなってしましたが、清太郎はあいかわらず強姦魔として若い娘を毒牙にかけていました。 歌麿の枕絵に刺激された雪英もガンパッテみますがなにせ元気がないので出来映えは今一つ。門前の小僧となったおせきはメキメキと画才を発揮、偶然目撃した清太郎の強姦現場をスクープします。いいとこの坊ちゃんだった清太郎にはおふく・堺美紀子という両親合意のフィアンセがいますが、もちろん彼女は清太郎の裏の顔は知りません。 枕絵のキャラクターが清太郎にうりふたつだったので、おふくとの縁談が破談になりかかり焦った清太郎は作者の雪英のところへ乗りこんでいきます。実は枕絵の作者はおせきでした。おせきは亭主が最期まで清太郎に犯されたことを気にしていた事実を知り、おふくを誘拐して清太郎の目の前でやくざに強姦させようとします。 裕福な階級に生まれ育った粗暴な男が、貧しそうな女を襲って時には殺してしまう。訴え出れないないこと見越してのゲスな悪行に対して、復讐する貞淑な女、つまりは弱き者の窮余の一策。BGMはクラシック。これ、本当にポルノ映画なんですか?と生真面目に質問したくなるところです。 日活ロマンポルノには予備知識のほとんどない筆者ですが、本作品は監督昇進第一作目とのことでかなり気合が入っているというか、「ポルノ」というジャンルに真っ向取り組んだ哲学的な風格すら感じてしまいます。曾根中生監督については日活ロマンポルノ→花の応援団、というショートカットしか知らず、まさかンな時代劇を流麗に撮っちゃう人だなんて全然思いませんでした。 絵師が女を責めてその姿態を描くというのは「歌麿・夢と知りせば」なんかで窺い知ってる訳ですが、職業意識を持った男ならいざしらずリベンジャーとしての女性が画才を武器に対決するんですけど、クライマックスのならず者とお嬢様の大どんでん返しには主人公の業の深さのようなものを感じてしまいます。 鈴木清順を筆頭に結成されたプログラムピクチュアの脚本家集団の出身である曾根監督だからこその緻密で念入りなドラマ構成が出来あがったのだろうと思われますが、時勢の結果とは言え、本作品のような名作がなんとなく埋もれ気味になっているのはモッタイナイの一言です。 椿の花や藻が効果的な小道具として活躍します。主演の小川節子はいかにも和服が似合いそうなきゃしゃな女優さんで、帯をつかまれて「あれえー」(クルクルクル・・・)というアクションがフィットする薄幸そうなフェイスが魅力ですが、女優稼業は短く、俳優の高岡健二と結婚したそうです。 アグレッシヴな強姦野郎を、一見、地味な顔して熱演した前野霜一郎は日活ニューアクションの出身。1976年、ロッキード事件の証人であった児玉誉士夫邸にセスナで突入、死亡しました。 (2002年05月19日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16