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病院坂の首縊りの家


■公開:1979年
■制作:東宝、角川春樹事務所
■製作:市川崑、馬場和夫、黒沢英男
■監督:市川崑
■助監:橋本幸治
■原作:横溝正史
■脚本:日高真也、久里子亭
■撮影:長谷川清
■音楽:田辺信一
■美術:阿久根巖
■主演:石坂浩二
■寸評:死亡、逮捕、新興宗教、水戸黄門。東宝の金田一映画はこの後、しばしお休み。


 てっきり二代目・金田一耕助は草刈正雄かと思いましたよ、ってそれじゃあ若大将シリーズじゃん?

 日本映画の風雲児(当時)、角川春樹が巻き起こした原作タイアップ映画シリーズの一つ、横溝正史の金田一シリーズ(東宝)は5作目の本作品でひとまず打ち止め。原作でも金田一耕助はこのエピソードを最後に渡米してしまう。

 渡米を前に知り合いの作家・横溝正史を訪ねた金田一耕助・石坂浩二は、パスポート用の写真を撮るために本條写真館にやって来る。耕輔は写真館の主人、徳兵衛・小沢栄太郎から無人のビルで殺されかけたので調査をしてほしいと頼まれる。その夜、徳兵衛の息子、直吉・清水宏治(当て字でスイマセン、出ないんです)と助手の黙太郎・草刈正雄は奇妙な美少女・桜田淳子から病院坂の法眼家の屋敷で婚礼写真を撮影して欲しいという注文を受ける。

 風鈴のキーワードを軸にめくるめくような、っていうか黙太郎の手帳にある家系図が無いと何がなんだかよくわかんないうちに、ただ犯人だけは一発でわかるんだけど、バカスカ人が殺されてしまうので困る。毎度のことだが、事件予防というときにまったく役立たずなくせに、結果的に味を残す金田一耕助の名推理が冴え渡る。

 引き立て役のピエロ、等々力警部・加藤武とオカルトキャラの白石加代子は新作の「八つ墓村」でも再会(したいかどうかは別にして)できたが、シリーズの常連でファンも多かった小林昭二は本作品が見納めになってしまった。

 もう死んでんのに首切落とすときなんで噴水みたいに血が出るんだろう?とか疑問はあるが、ギター頭にたたきつけられたくらいで死ぬなよ、ピーター、あ!致命傷は絞殺か。生首風鈴事件って名前もスゴイがビジュアルも相当にキテる。でもなんたって一番キレてんのは桜田淳子だった。そうだねえ、菅野美穂の大先輩に当るわけだね。意味不明な人は「催眠」参照のこと。回想シーンで妙にマンガっぽかった変態亭主役の久富惟晴、最初に出てきたときは加藤武かと思っちゃいました。

 やはり5作目まで来ると、手際も安定してて次の一手が読めるところまで来ている、のがツマラナイっちゃあ身も蓋もないけれどビックリさせるアイデアが豊富な割にあんまりビックリできないのがツライ。俳優さんは大変だけど「犬神家の一族」で奮闘した川口兄弟のような捨て身のインパクトってのが無いんだよな。

 それと、入江たか子と久富惟晴、佐久間良子と萩尾みどり、実年齢を知ってると余計にわけわかんなくて、つまり夫婦とか親子とかの常識的な年齢差のイメージぶち壊しだから、人間関係がごちゃごちゃになってしまい、筆者の頭じゃおっつかなかった。こりゃあ原作読んどいて見たほうがいいかもしれない。

 まあ、このシリーズってそういうのは二の次なのかな?綺麗な女優さんが血まみれになるのが一番の見せ場だもんな。あと、ジジイをボカスカやるか血ゲロ吐かせる、とか。

 イキナリ原作者のところへキャラクターが訪ねていくのはファンサービスのつもりなんだろうけど、一応アマチュアの横溝先生はともかく、台詞棒読みどころか芝居も学芸会並の女子学生の妙ちゃん・中井貴恵、苗字を聞かれて「佐田です」、笑えばいいのか?

 常連チームは子供を溺愛する母親役に三条美紀、チョイ役ながらもキーパーソンに草笛光子、ワンシーン芸がまるで由利徹のような三木のり平、オーヴァーな演技がステキな大滝秀治、地縛霊の常田富士男。このほか、あおい輝彦所属のジャニーズ、じゃなくてジャズバンドのメンバーに元ヴィレッジ・シンガースの林ゆたか、「三浦友和と仲間たち」(だれも知らんか)の山本伸吾が出ている。

2002年02月10日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16