網走番外地 悪への挑戦 |
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■公開:1967年 |
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この作品は当初、不良少年たちを更正させるために主人公がみっともない姿をさらすジェイムス・キャグニィ主演の「汚れた顔の天使」ふうのオチが用意されていたようだが、公開された作品は違っている。脚本段階で入稿しなければならない諸般の事情。 網走刑務所を出たり入ったりしている橘真一・高倉健は、七人殺しの鬼寅親分・嵐寛寿郎を頼って博多へ。途中、銃砲店を襲撃して通りすがりの主婦を人質にとった少年(とはとても呼べない老けた)三人・小林稔侍らの捕獲作戦を指揮していた、イカス帽子をかぶってこのクソ暑いのにスーツ姿の警部・波島進に協力、鬼寅親分が不良少年の更正施設にいると知って、昔の自分を見るような、ド不良の武・谷隼人をはじめとする(ぱっと見は肉体労働者のような)少年たちにガチンコの体当たり教育を施す、という話。 少年たちも凶悪な面構えだが、やっぱ悪いの大人たち、なんであって、少年たちを利用しようとしたヤクザの親分・田崎潤の手下・曽根晴美が施設のアイドル的な存在だった春子・真理明美を犯し、ヒロポン中毒みたいな少年(に、もっとも見えない)一郎・石橋蓮司をそそのかして抗争事件に巻き込み、親分を裏切って武を助けようとした幹部の衆木・川津祐介を武もろとも殺害する。 いつもは健さんのサポート役を果たす、偶然ってスゴイなあってな感じで登場する網走同期生チーム・由利徹、砂塚秀夫、田中邦衛、オカマの吉野寿雄が全然別人として出てくるのがなんとも違和感アリアリ。 石井輝男監督の元祖・網走シリーズは大人の喜劇。喜劇は発想が勝負だからマンネリになったら作るほうも見るほうも息切れする。あの手この手の一つとして「網走番外地・南国の対決」でみせたゲンコツ先生のイメージをやや年長の谷隼人で再演したつもりなら、やっぱ二番煎じでしょ。吉田輝雄みたいに粘りに粘らないで「ミステイク」という台詞で客をトランス状態に追い込んだ川津祐介の死にっぷりがあっけなかったりするのが、今までの「網走っぽい何か」を裏切るようで、どうもしっくりこない。 C調コンビの片割れが「キューポラのある町」で吉永小百合の弟役だった市川好郎。その恋人ってのがペコ・美波節子っていうんだけどこれがもうガサツでブスでなんとかしてよ、なキャラクターなんですけどね。谷隼人の母親役(っていうのはちょっと可哀相だけど)で」三原葉子がほぼすっぴんで出てくるんだけどこれがまあ構造的に日本画風の美人なのでちょっと見なおしちゃいました。 網走番外地にあるのは、大人の社会からドロップアウトした男たちが繰り広げる、大人の男の世界、のはず。高倉健という俳優のキャラクターぬきでは語れないワールド、本当に「兄貴」と呼べるのは橘真一だけ、なわけで決して「お父さん」じゃない。ラストは兄弟分のためにカチコミかける健さん、なあんだいつも通りじゃん。最初と最後が繋がってこないのがどうも納得いかないわ。 (2002年01月25日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16