大冒険 |
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■公開:1965年 |
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本作品はクレージィキャッツ結成10周年記念映画です。特撮はこの年「太平洋奇跡の作戦・キスカ」で高くその技術を評価された円谷英二。 世界規模の偽札団が日本にも進出したらしいので、内閣総理大臣・森繁久彌は大蔵大臣・高田稔、日銀総裁・柳永二郎、通産大臣・北竜二、警視総監・佐々木孝丸らに隠密捜査を命じます。 そのころ渋谷区桜ヶ丘のボロアパートに住まう、植松唯人・植木等は小柄な編集長・桜井センリにこき使われる週刊誌の記者をしており、ビール会社に勤務する発明狂の谷井啓介・谷啓をまきこんで特許収入でがばっと設けるために日夜くだらない実験を繰り返しているので啓介の妹、悦子・団令子には愛想をつかされプロポーズもソデにされています。 悦子にぞっこんの大会社の御曹司・安田伸はパパの会社に巨額の融資をしてくれる人を探していました。悦子は御曹司のために金融会社の女社長・越路吹雪を紹介してあげたので二人の中は深まるばかりです。そこへ乗りこんできた植松は札束を切られて追い返されます。 「刑事は勘が命」が口癖の花井部長刑事・ハナ肇とその部下、乾刑事・犬塚弘と市橋・石橋エータローはひょんなことから偽札を掴まされてしまいます。谷井と植松が開発したインクジェット式カラー複写機の話を立ち聞きした乾と市橋は二人を偽札犯人としてマークしますが、実はこの事件の背後には第二次世界大戦末期に自殺したと思われたナチスドイツのヒトラー・アンドリュー・ヒューズを総裁と仰ぐ残党グループが暗躍しており、アジア地区支部長・中村哲と女社長はグルなのでした。 残党グループに誘拐された悦子を追った植松と谷井、そして二人をおっかける花井、乾、市橋たちの壮絶なおっかけっこはついに南洋の孤島にある巨大な組織のアジトに辿り着き、そこで彼らが見たものは世界主要都市に照準をあわせた大陸間弾道弾ミサイルなのでした。 前半の閣議シーンなんかまるで東宝の戦争映画みたいな重厚さなので、この映画に賭けるナベプロの大社長、渡辺晋、渡辺美佐夫妻の並々ならぬ熱意を感じます。おまけにこの二人ったら最後の披露宴のシーンで堂々仲人役で出演してます。 ちなみにこの閣議のシーンで柳永二郎さんが「造幣局では同じ番号の札を印刷しないからどちらかが偽札」という話をしますが紙幣は大蔵省印刷局、造幣局は貨幣なのでこれは間違ってます。 んなことはさておき、この映画が素晴らしいのはひとえに植木等のバカ逃げです。 ところでこの映画で残党グループの東京支部の場所が渋谷公会堂ってのはさすがショービジネスのナベプロって感じですが、そこで追い詰められた植木等が飛び降りると看板でナイスキャッチのその後、電線にびよよよーんとつかまって道路にすっくと立ちあがり「あーやれやれ」ってまるっきりアメリカのカートゥーンなんですが植木さんがやるとなんとなく笑ってすまされるから凄いです。 植木さんのスーパーアクションはまだまだあります。 鉄橋の上からダイビングして馬にまたがって線路を列車と並走しさらにその列車の屋根に乗り移るというまるで千葉真一さんのような体当たり、っても実際にはスタンドインですけど馬に乗るところと屋根の上で高笑いするところはちゃんと本人がやってます。いかなる危機的な状況でも脱出すると例の調子で笑うんですからこの人ったら一体何者?って感じです。一応、体操選手だったようですけど、、ってそれじゃあまんま、千葉さんだ。 特撮とギャグの奇跡の合体。悪者グループも適当に間抜けでイイ感じです。なんせ桐野洋雄はともかく二瓶正也なんかボコスコにやられるためだけに出てきますからねえ。女ボスの越路吹雪さんは「ビバリーヒルズコップ2」に出てきたブリジット・ニールセンみたいな冷酷美女で、おまけに団令子に催眠術までかけちゃいます。 そんなこんなで太平洋戦争時代は三国同盟の関係上、英雄扱いだったアドルフヒトラーが生きていた!なんてアンドリュー・ヒューズさんのなりきりぶりが大笑いでしたけど、この人の国籍はオーストラリアなんですよね。だから「日本沈没」で演じた豪国首相役がホンスジ。 さて、ナチスの偽札といえばザクセンハウゼン強制収容所とかでもさんざやってたんですから歴史的な事実も背景にあるわけで、あながち荒唐無稽なハチャメチャでもないんですが、それにしても潜水艦まで出てきてそこいらへんの「大冒険」を背広姿でこなしてしまう主人公に「サラリーマン映画の東宝」というコンセプトをしみじみ感じたのは私だけでしょうか? ヒトラーが隠れ住む孤島でくりひろげられる日米連合軍の砲撃シーンのド迫力は火薬大好きっ子の中野昭慶の面目躍如というところですね。ちなみに米軍の指揮官には地球の恩人・ハロルド・コンウェイが扮しています。現地人の役なので例のたどたどしい日本語が聞かれないのが惜しいところです。 (2001年12月09日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16