黒部谷の大剣客 |
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■公開:1960年 ■制作:東映京都 ■企画: ■監督:佐々木康 ■助監: ■脚本:結束信二 ■原作: ■撮影: ■美術: ■音楽: ■主演:市川右太衛門 ■備考: ネタバレあります |
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時は幕末、黒部谷に眠る金鉱を狙っているのは、粗暴で排他的な川鳴一族、幕府の役人、山師のご一行様、そして、その騒ぎに巻き込まれてしまった気の毒な平家の落人部落。 まるで西部劇のようなロケーションに颯爽と姿を現したのは正体不明の浪人、一色左近・市川右太衛門。ハワード・ヒューズの「ならず者」に出てたジェーン・ラッセルそっくりなセクシーボム、宿屋の女主人、お蘭・木暮実千代と、そのパトロンで偽小判造りの雲右衛門・山形勲に出迎えられた左近は、早速、黒部谷へ出かけ、そこで「日本一周地図作りの旅」を続けている望月伊織・品川隆二と早苗・朝風みどり兄妹に出会い未完成の周辺地図を手に入れます。 金鉱への地図だと勘違いした雲右衛門、傷の五兵衛・富田仲次郎、どもりの竜・香月涼二、めっかちの虎・山口勇(ちょっとものすごい役名ですね)は左近を襲撃して地図を奪います。川鳴一族討伐のために宿屋に終結した幕府の屯所の役人たちは、雲右衛門が自分らの追跡を妨害するために毒を入れた水桶の水を飲んでいまいバタバタと倒れて全滅します。 お調子者ですが善良な山師の金太・堺駿二は左近に協力して雲右衛門一味の後を追います。途中、平家の末裔でコマンチ族のねーちゃんみたいな娘、佐里・福田公子と出会った左近は、宿屋に戻った雲右衛門らを倒し、その死体を馬にくくりつけて様子を見ているとあっという間に毒矢が飛んできます。 裏山に集結していた川鳴一族が宿屋になだれ込んできます。彼らを扇動していたのが中国人の技術者を名乗る馬占来・柳永二郎だと知った左近は、落人部落の長、落合藤吾・薄田研二、島津藩の密偵、風来・大河内傳次郎と協力して川鳴一族を撃退し、すべての騒動の元になった金鉱への街道口に爆薬をしかけて封じてしまいます。 戦いの最中に死んだ風来とお蘭を弔った左近は再び、馬に乗って去って行くのでありました。 最初は「ならず者」、のち「アラモの砦」、で最後は「マッケンナの黄金」(ただし峡谷が埋まっちゃうところだけですけどね似てるのは)アメリカ西部劇でお腹いっぱいになりそうな映画です。 「宝さがし」は冒険活劇の王道です。そこへ幕末の動乱に乗じて一山当てようとする胡散臭い山師たち、軍船建造の資金作りをしたい勤皇派、日陰者扱いされていた世間知らずの士族をそそのかす極悪三国人、欲の皮の突っ張った有象無象が繰り広げる問答無用のドンパチをぶちこんで、ジオラマの特撮もちょっとだけアリというスペクタクル映画。 川鳴一族は毎晩、焚き火囲んで酒盛り、頭に鳥の羽根飾りをつけて、通信手段はもっぱらコンガ、兵器は毒矢とまあ、姿形からなにから50年代の西部劇に登場する、野蛮で狂暴なインディアン(今はネイティブアメリカって言うんですが)そのまんまです。酋長が戸上城太郎、その腹心がいつも目がイッちゃってる吉田義夫、ですからもうその絶対的な悪のセンスは疑い様もありません。 幕府役人の屯所ってのがこれまた騎兵隊の営舎そのものだし、舞台となる宿屋の造りもまるで西部劇のカウンターバー。こんな調子で延々とやってるもんですからちょっと笑っちゃうんですが、大・大川博はこれにこりずに「荒野の渡世人」という頭がクラクラするような映画も作ってるので相当にお好きだったんでしょうね、ハリウッドの西部劇。 荒唐無稽な話を大真面目に作る。本作品はある意味、娯楽映画でもっとも大切なことに忠実な映画だったとも言えましょう。 しかし何にでもでますね、大河内傳次郎は。この映画では頭はタコだしビッコだし乞食同然の格好だし。一応、最後に見せ場アリですがここまで来るとファンは辛いんじゃないかと他人事ながらちょっと心配です。 あと、市川右太衛門の悪口は絶対に言わない筆者ですが、御伽噺の二枚目張るならもうちょっと若い人じゃないと、中高年の往年の大スタアである右太衛門先生ってのは許容範囲のギリギリです。どこいても早乙女主水之介しちゃう先生だけに、若い娘とのロマンスってのはいかがなものか?って感じでした。 (2001年08月05日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-06-13