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ずべ公番長 東京流れ者


■公開:1970年

■制作:東映東京

■企画:

■監督:山口和彦

■助監:

■脚本:山口和彦、宮下教雄

■原作:

■撮影:

■美術:

■音楽:

■主演:大信田礼子

■備考:

ネタバレあります


 「ずべ公」というの不良少女のこと。「ギャル」というカタカナ言葉で調子のこいてる21世紀のガキどもよりはヴァイタリティーのあるぶんだけ大人と言えます。

 「ずべ公番長・夢は夜ひらく」の続編的シリーズ第2作。

 女子少年院で番をはる影山リカ・大信田礼子は妊娠した仲間の脱走をほう助したため仲間の八百長子・橘ますみやマリ・賀川雪絵、千本ミツ子・集三枝子らよりもちょっと遅れて退院、おもちゃ工場で働いて地道に暮らそうとしますが、カラダを狙ってきた助平な課長・由利徹をシメてしまったのであっさりと解雇されます。

 縁日でスリの被害から救ってくれた若いテキ屋の常次郎・渡瀬恒彦(恒彦だから常次郎、なんて安易なネーミングでしょうか)にちょっぴりホレたリカは、新宿のテキ屋の女親分、加瀬虎(ガセトラ)の蘭子・宮城千賀子に見こまれてトウモロコシの街頭セールスを始めます。

 新宿一帯を乗っ取りたい黒江組の組長、黒江・南原宏治のところの若い衆・佐藤晟也藤山浩二土山登志幸小林稔侍らに頼まれた同業者・トリオスカイライン東八郎小島三児原田健二)を蹴散らしたリカは常次郎と再会します。ガセ虎の子分、松・人見明によると常次郎は蘭子の一人息子でした。

 黒江は大手暴力団、錦本組の組長、錦本・上田吉二郎と結託し、ミツ子の彼氏を騙して蘭子を暗殺させます。リカは昔の仲間とともにトレードマークの「真赤なレインコート」に身を包んで黒江と錦本たちが祝杯をあげているキャバレーに殴り込みます。

 いやあ実にスタイルいいですね、大信田礼子。出るとこは現在のような詰め物や科学の粋を集めた「シークレット・ブラジャー」が無い時代のため今一つですが引っ込むところは綺麗に引っ込んでますし、お尻もちっちゃいめ。もちろん当時としては。

 赤城学園というのは女子少年院のことで、日活の「東京流れ者」とは別物です、当たり前ですが。

 後世、この「ずべ公番長」はもっと直球な「女番長(スケ番)」という名称に変わって、話も絵柄も過激化するわけですが、まだ本作品の頃は露骨なセックスやハダカは登場しません。エッチなシーンと言えば、トルコ嬢の集三枝子が大切にしている貯金通帳をパンツの中に、やはり大切なモノを保管するのは女の場合は「股ぐら」であるという「飢餓海峡」の伝統は生きていますね、ってそういうんじゃなくて、そこへ押しこむところくらいなもんで、後はちょっと胸に手が触れただけでビックリ!てな、実に健全な(?)映画です。

 女の人の殺陣の相手はとても疲れるそうですね。トロいから合わせるのが大変なんだそうです。でも本作品の女性チームはみな運動神経よさそうですがどうでしょうか?ぱっと見が派手な賀川雪絵が長ドス振りまわすところなんかさすがアマゾンキラーやるだけのことはあり、って感じでかっこよかったです。

 山口和彦監督と言えば「人ひとり死ぬたびに血糊をバケツ一杯くらい大盤振る舞い」するんですが、まだデビュー間も無い頃だからでしょうか?最後の最後、常次郎って言うか恒さんにトドメ刺された南原さんの体から噴水状態の流血があったのと、同じく口からこれでもかとあふれ出た血ゲロがあったくらいで、それでもタメにタメこんだ効果は大でしたので、なかなか迫力ありました。

 藤圭子のヒット曲をフィーチャーしたこのシリーズですが、実際はあまり、別にどうでもいいんじゃない?と言うくらい肝心の楽曲の印象は薄いです。きっとたぶん、その反省が結実したのが小林旭の歌がこれでもかと流れる「多羅尾伴内 鬼面村の惨劇」だろうと思われます。

 後の「女番長」シリーズのルーツ的シリーズ、第二作。

2001年07月26日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-13