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孔雀城の花嫁


■公開:1959年

■制作:東映京都

■企画:

■監督:松村昌治

■助監:

■脚本:小国英雄

■原作:

■撮影:

■美術:

■音楽:

■主演:大友柳太朗

■備考:

ネタバレあります


 東映の花嫁シリーズ第3弾。

 上野国の城主、松平図書頭信直・中村賀津雄は、将軍家の娘、和姫・美空ひばりを嫁に迎えますが、なんせ相手は八百万石、自分は一万石と身分がケタ違いなので、姫のお守役である藤の方・三浦光子から婚礼の道具やらしきたりやらでなにかと「田舎者」扱いされかなりカチンと来てしまいます。

 松島・松浦築枝は、将軍の側室出身である藤の方が処女だと見抜き、将軍に鼻も引っ掛けられなかった藤の方の男性不信が和姫にも影響しているのではないかと家老の木島・沢村宗之助にアドヴァイスします。亀の甲より年の功、松島のそれは見事に的中してしまうのでした。

 いきなりキスしようとした信直は和姫にぶっ飛ばされてしまいます。その頃、城下に半助・大友柳太朗という猟師が現れ易者・杉狂児に「日本一の美女が手に入る」と予言されます。半助はそれが殿様と不仲の和姫だと勝手に思い込んでしまい、城に忍び込みます。

 和姫なんかと結婚したくないけど、離縁すれば藩が取り潰されてしまうので、しかたなく切腹しようとした信直を止めた半助は、信直から和姫のじゃじゃ馬ぶりを直すように頼まれます。半助は抵抗する和姫を布団でくるんで山奥の自分の小屋へ連れていってしまいます。

 飯炊きや洗濯をやらされて再三、逃亡を企てたか和姫でしたが、自分のカラダを狙ってきた山賊たち・山形勲花沢徳衛阿部九洲男らと肉弾戦をして助けてくれる逞しい半助に惚れてしまいます。とうとう城から追っ手が迫り、て言うか逃げた山賊が腹いせに役人にチクったのですが、半助は山の暮らしの厳しさと領民への感謝を忘れないように和姫に言い残し姿を消します。

 プライドを捨てて他人への感謝と愛情に目覚めた和姫は信直と仲直りしました。半助の正体は不祥事をおこして切腹した先代藩主の家来の息子で、なんとか恩返しをしようと城代家老の大沢外記・大河内傳次郎らと協力、和姫と信直をうまくくっつけようとしていたのでした。姫の無事を確認した半助は、妹のおみね・桜町弘子、叔父の森源五左衛門・薄田研二とともに去っていきました。

 本作品は1959年4月8日に公開されています。皇太子(現・天皇陛下)の結婚パレードが行われたのは公開2日後。映画の中でも信直と数姫が城大手門前のやぐらの上で、婚礼のお祝いにやって来た群集のお祝い提灯の行列に応えるシーンが登場します。身分違いをテーマにしてるのもこのセンですが、あまりストレートにならないよう嫁と婿の立場が逆転してるところがミソ。

 つまり本作品が制作された頃は日本国中「ご成婚」ブームで大盛り上がりだったわけですね。したがって冗談でも映画の中の結婚はアンハッピーエンドにはならないわけですね。

 屈強な山男の大友柳太朗は汗ささと男くささ全開です。まるでターザンのように腰の刀一丁でツキノワグマと格闘します。日本にはワニがいないので、とりあえずクマなのですが、これが当然着ぐるみなので一歩間違うと大友先生がバカバカに見えてしまいます。そこで映画の中にニセモノのクマと本物のクマを何度か登場させて客の目をなれさせようと(?)しますがやはりヘンなものはヘンなままでした。しかも大友先生が(いつものとおり)とても真面目なので全然笑えずよけいにツライというオマケもついてました。

 東映京都の「花嫁シリーズ」は第一作「鳳城の花嫁」から「鶯城の花嫁」そして本作品が第三作目になります。念の為、美空ひばり主演の「白馬城の花嫁」というのがありますけどこちらを「花嫁シリーズ」に入れてはいけません。お城の名前が「鳥類」と関係無いからです。あと、大友柳太朗さんも出てないからダメです、筆者としては。

 日本がものすごく元気が良くて、おめでたい頃ですから、こういうお気楽なラブコメディ映画の登場は時代のニーズ。本作品を見るときは頭の中をうんと「おめでたい」モードにしておくことを強くお勧めします。

2001年07月25日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-13