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修羅の伝説


■公開:1992
■制作:東映東京
■企画:
■監督:和泉聖治
■助監:
■脚本:黒田義之、斯波道男
■原作:勝目梓
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:小林旭
■備考:


 オヤジの笠部・三木のり平は昔気質のやくざ、若い衆はフリーター感覚の腰抜けぞろい、おまけに女房・秋野暢子はクソ生意気で色気のかけらもありゃしないという、笠部組の幹部である大滝・小林旭は今日も今日とて気苦労が絶えない。フロント企業の次期社長・西岡徳馬が関西系の組織暴力団と手を組もうとしてるってえのに、プライドだけは高いオヤジはあっさり見過ごしちゃうので大滝はガックリである。そんな気の毒な大滝にはフィリッピーナの愛人、友子・ルビー・モレノがいて、これが癒し系のいい女。

 関西と手を組んだライバルの小田組組長の小田・室田日出男の指示で笠部がホテルでヒットマン・ジョニー大倉により幹部の相原・鹿内孝ともども暗殺されるに至り、ついにキレた大滝がガソリンスタンドのトイレで小田組の幹部・錦引勝彦の首をへし折りついに全面戦争へ突入する。

 若いもんはケツ割るし、警察は圧力に屈してパーカー(パトカー)引き揚げちゃうしで丸裸の笠部組に小田組がなだれ込むところがクライマックス。次々にカワイイ舎弟が血だるまにされるが、大滝はなんとか逃げ延び、小田を射殺!その大滝もへっぴり腰の鉄砲玉に情をかけて反対に殺される。

 自分はちょっとも手を汚さなかった代議士・金田龍之介(丹波さんだったらきっと殺されないに違いないが)がイイ気になってるパーティー会場に堂々と乗り込んだルビー・モレノの銃弾が演台に向かって炸裂!良い芝居ができないぶん思いつめた感じがストレートでカッコイイね、ルビー。

 東映オールドタイマーズにハリウッドギャング映画のクールなバイオレンス風味を加え、Vシネマから主役クラスを引っ張ってきて、良くも悪くも新旧織り交ぜのやくざ映画。

 東映Vシネマは第1作「クライムハンター」(大川俊道・監督、主演は「太陽にほえろ」のブルース刑事・又野誠冶)から始まったのだがビデオ撮影によるビデオ作品のこのシリーズはバイオレンスアクション、お色気、SF、ようするにキワモノの分野で、低予算のそしりを受けつつもなかなか見ごたえのある作品を連発し、そこから哀川翔、白竜、竹内力、そして本物の前科持ち俳優、清水健太郎などユニークなキャラクターを育成してきた。

 本作品にも白竜清水健太郎が活躍しているが、そこはそれ見るほうの納得を得るため?大スタア・小林旭の前では寡黙に徹してるのが潔くてカッコイイぞ。旭さんの男気に惚れてしまう陣内孝則はちょっと日活の藤竜也のセンだが内田朝雄や室田日出男という東映オールドタイマーズのテイストもきっちり保つ。

 本作品がメインで室田日出男はこの年のブルーリボン賞の助演男優賞。

 CM業界出身で垢抜けしたニック・ウッドの劇伴にすっかり良い気持ちにさせられていると、イキナリ、旭さんの台詞とは正反対のドピーカンな歌声による楽曲がボリュームびんびんにかかるので思いっきりコケそうになるのが、旭ファンとしてはツライところであるが。

 このほか、旭さんと友情が芽生える警視庁刑事に平幹二郎、昔は東映のギャングもので悪役やっとったからねえこの人は。陣内の妻に鶴田浩二の三女、小野さやか。旭さんの組の代貸に内藤剛志、若い衆に坂上忍本田博太郎は台詞がほとんどない不気味な殺し屋で逆さづりのリンチにも耐え抜きそのあたりの頑張りが本作品のプロデューサ・岡田祐介に高く評価され「北京原人」に大抜擢(嘘)。ビートたけしのゲスト出演はデッカイ旭さんの前ではいかにも下世話な小者然としててこーゆーの巧いね。

2001年05月20日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-08