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水戸黄門


■公開:1957
■制作:東映
■企画:マキノ光雄、玉木潤一郎、大森康生
■監督:佐々木康
■助監:
■脚本:比佐芳武
■原作:直木三十五
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:月形龍之介
■備考:祝・映画生活38周年。


 月形龍之介の映画生活38周年記念映画。かつて大映からスタア俳優を招聘して新参者から邦画大手にのし上がった東映、スタアを大切にするんですな。しかしなんでキリのいい40周年じゃなかったのかしらね。

 とてもそうは見えないが、史実では幼い頃病弱だった将軍、徳川綱吉・片岡千恵蔵は、桂昌院・入江たか子のオススメで戌年戌の時刻生まれに因んで「生類憐れみの令」を交付。おかげで増えすぎた野良犬や過剰反応した地方警察のおかげで迷惑している民百姓のために、水戸黄門・月形龍之介はお伴の渥美格之進・大川橋蔵に命じて野良犬の生皮を将軍様に献上、あっさり悪法を撤回させる。

 とてもそうは見えないが(しつこい?)、素直で純粋な綱吉が側用人の柳沢出羽守・進藤英太郎になめられてんじゃないか?と心配になった水戸黄門は格之進と佐々木助三郎: 東千代之介を連れて江戸へ行く。そこで偶然、越後高田藩のお家騒動、悪家老の小栗美作・薄田研二の公金横領を幕府にチクった正義派の萩田主馬・大河内傳次郎が、賄賂もらった柳沢にインチキされて島流しにされた事件に遭遇。

 賄賂の中身は小栗の家臣の野中主水・大友柳太朗の許婚、お縫・長谷川裕見子の生人形、というわけでウハウハの柳沢だったんだけど、オッカナイ女房、おたきの方・花柳小菊にびっちり説教くらっておまけに逃がしてしまうと言う大失態を演じてそこからアシがつく。高田藩から窮状を知らせに来た関根弥次郎・市川右太衛門はスリの宇之吉・中村錦之助の活躍で水戸黄門に出会い、悪玉一味はことごとく撃退される。

 月形龍之介の俳優としてのキャリアは途方も無く長い。東映が彼の映画俳優生活38周年を記念して作ったのが本作品。だから野良犬をぶち殺して生皮剥ぐぐらいのことは見逃しましょうね(おいおい)。

 「忠臣蔵」クラスのオールスタア映画。顔出し程度から懐かしの名優まで、出るわ出るわの大盤振る舞いでしかもみんな月形龍之介を立てるための刺身のツマだから、大友柳太朗なんて全然刀抜かないで引っ込んじゃうんだけど東映の重役俳優二人が頭下げるところだけが本作品のメインフレームと言っても過言ではないので、こういうおめでたい映画に文句言わないように。

 このほかの出演者は、錦之助のよきライバルの女スリのお六・千原しのぶ、右太衛門を裏切る武士に原健策、暗殺団のリーダーは吉田義夫、綱吉のお小姓さんに庶民派の二枚目だった伏見扇太郎、暗殺団の一人に往年のチャンバラスタアの高木新平まで登場。

 テレビじゃ印籠だったけれども本作品ではお守り袋に葵のご紋が入ってる。越後高田藩のお家騒動はテレビの「水戸黄門」第四部で中丸忠雄がセミレギュラーで出たときに登場、えーっとつまり北の御大の役どころだったわけですね。ついでに言っとくとテレフィーチャー「映画三国志」で片岡千恵蔵の役やったのも中丸さんです。東映の二大重役俳優制覇なんて凄いわあ、と言うかああいう大時代な顔立ちの俳優さんがほかにいなかったってことなんですけどね。

2001年05月20日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-08