新 悪名 |
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■公開:1962年 |
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戦後、復員した八尾の朝吉・勝新太郎は戦死公報が出ていてすでに墓もできていた故郷へ戻ってくる。14年ぶりに再会した村の仲間たちには戦死した者もいた。恋女房のお絹・中村玉緒はすでに他人の女房になっていた。 進駐軍に暴行された友達の妹、月枝・浜田ゆう子はショックで大阪へ。朝吉も後を追って行くと、闇市マーケットで死んだモートルの貞(田宮二郎)の未亡人、お照・藤原礼子に再会。月枝は、貞の実弟、清次・田宮二郎の恋人、お雪・万里昌代が組織するパンパン連合に入っていた。 朝吉は清次と貞の母親・武智豊子を引き取り、お照に世話を頼み、焼け出された人たちが集まっていたマーケットで雑炊屋を開業する。そこへマーケットを潰して娯楽センター建築を目論む、かつてのちんぴらで今は実業家になっている勝・須賀不二男と、やくざの金子・沢村宗之助が現れる。清次は彼らのパシリだった。 戦後の混乱期、この映画が封切られたときはまだ記憶に生々しい風景がリアルに再現され、たぶん当時の観客の琴線を刺激したんだろう。ドサクサにまぎれて悪事が横行していて第三国人の暗躍も当然ながら描かれる。朝吉がやくざから救った在日の堀・伊達三郎との会話はなかなか今日的である。「戦争が終わって独立国になったのは嬉しいことだろうが、いくらいじめられ続けたからと言って、同じように日本人をいじめたんじゃ立派な国だとは言われんぞ」教科書が教えない歴史は映画で学べってことね。 前作「続・悪名」で刺殺された貞は双子のようにそっくりな清次としてゾンビ復活、うーむ、まるで東映のようだ、ってか要するにそれだけあのキャラクターがウケたってこと。この映画ではモートルの貞から、粗暴と屈折を割り引いて軽佻浮薄パワーを増量、後の「犬シリーズ」の鴨井大介そのまんまの清次へ。 進駐軍の物資横流しで稼ぐ清次は英語もナイス!さすが田宮二郎、学習院出だけのことはあるなあ、ってか! 田宮二郎の馴染みのオカマ、お銀・茶川一郎。先ごろ死去したこの喜劇俳優がオカマ以外の役どころってのをあまり見たことないんだけど、この映画でもバリバリのその筋の人。月枝を女郎斡旋業をしている今喜多代、島田洋介夫妻に清次の命令で売り飛ばすシーンでは何気に迫力あってビビる、あの目が、目がデカイ!特殊メイク不要だ。 最後は当然、清次が朝吉の舎弟になり、やくざ一味をマーケットの人たちと協力して撃退し、マーケットの存続を保証させる。 田中徳三監督の「悪名」「続・悪名」に比べると森一生監督の第三作目はいささかステレオタイプだが、盛り上げる勘所はちゃんと押さえている。なるほどこの八尾の朝吉というアウトローのヒーローの今後の活躍がますます期待できそうな幕切れで、事実、このシリーズは朝吉と清次の凸凹コンビによる長期シリーズになるのである。 第1作から本作品まで、実生活では勝新太郎の恋女房として添い遂げた中村玉緒はこの映画でお別れ。貞と清次の母親は女エノケンの異名を取る武智豊子、どういう遺伝子で田宮二郎が生まれるのか?って気もするが。 出演はほかに、朝吉の父親に荒木忍が第1作より引き続き登場。 (2001年05月13日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2011-05-22