地獄の警備員 |
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■公開:1992年 |
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「それを知るには勇気がいるぞ」人生で一度は使ってみたい殺し文句である。 この映画の決め手はテレックス。実際、電話線なんかよりもテレックスのほうが地の果てまでちゃんと届くってのは本当のことだが、しかし携帯電話が登場しちゃうと今後、この手の閉じ込められドラマはどうするんだろうねえ。 ニッポン・バブルの真っ最中、多くの企業が税金対策として絵画の買収に血眼になっていた。大企業でダーティーな仕事を一手に請け負っていた男、兵藤・長谷川初範が新設した第12課に元学芸員の秋子・久野真紀子が転職してくる。 おなじ頃、かつて兄弟子と愛人を惨殺したが精神鑑定の結果、無罪とされた元力士の富士丸・松重豊がこの大企業の警備員として雇われた。とてつもなく長身の彼は、先輩の警備員、間宮・田辺博之が同僚の白井・内藤剛志に脅されているのを知ると、何も言わずに白井を叩き殺してしまった。 富士丸は秋子のイヤリングを片耳につけ地下室に寝起きするようになる。やがて監視カメラに秋子が室長の久留米・大杉漣にいたずらされそうになっている姿が映る。間宮から久留米を脅してくれと頼まれた富士丸は久留米を地下室で惨殺する。 秋子に殺害現場を目撃された富士丸は、間宮を殺し、ビルに残っていた12課の社員たち一人一人を殺していく。 もっとも安全な存在であるはずの「警備員」が殺人鬼になるというアイデアが秀逸。 トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」は電動工具が凶器になるということを世に知らしめた名作であるが、それだけではなく「動機なき殺人」の恐怖に最も早く目をつけた映画である。この作品もそういう「わけのわからなさ」が恐怖ポイントである。 この富士丸も秋子に動機を問われて「動機がない」と回答している。ストーカーという言葉がまだ定着していない時代の映画であるが、富士丸は秋子のストーカーでもあったわけで、その点においてはレザーフェイスよりも動機がちゃんとしているのだが、秋子にちょっかい出してきた若手社員・緒形幹太に対するマニアックな殺害テクニックがある意味、純粋な富士丸の狂気をさらに強烈なものにしている。 凝った殺人テクニックとしては、ほかに「ロッカー潰し」なんかも見どころのひとつ。て言うかオフィスのロッカーってちょっと中に何が入ってるか謎なところがあるので、これを小道具に使ったとこなんかはさすが「近代的な怪談映画」の巨匠、イイとこ突いてきてるなあって感じ。 特別出演として、作業員に大寶智子、兵藤の妻に「カリスマ」「キュア」と黒沢作品の常連化する洞口依子。 (2001年04月08日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-06-07