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東京爆弾


■公開:2000年
■制作:ケイエスエス
■監督:鈴木浩介
■助監:
■脚本:小林弘利
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:竹中直人
■備考:


 ビデオ作品ってホント、金が出ないぶん知恵を出せがつまってる。ゆえにアイデア倒れでビジュアルは今ひとつ貧乏くさい。

 切羽詰った人間に3倍の能力を与えると言う謎のカプセル「東京爆弾」にまつわる3話からなるオムニバス風映画。しかしこの「東京爆弾」には2つの約束がある。一つは「決して東京を出ないこと」もう一つは「決して感極まってはならないこと」。この2つのいずれかを破れば「東京爆弾」は爆発してしまう。

 第一話。恋人・黒沢さゆりと心中しようとしていた末期癌の男性・遠藤憲一が生還する話。

 第二話。公団住宅の募集にハズレまくっている中年サラリーマン・塩見三省が東京郊外の一戸建てを当ててしまう話。

 第三話。やくざの鉄砲玉・北村一輝が不死身の体になる話。

 一話ではまず「東京爆弾」のスペックを解説をして、二話ではアプリケーションを見せ、三話で誕生秘話とその存在意義について問い掛ける。まずは順当な流れにそっているので観客はどのようにして「東京爆弾」が破裂するか?をハラハラしながら追っていくことになる。

 悪魔のメフィストフェレスに魂を売って願望をかなえようとするファウストは地獄に堕ちるっていうストーリーには新鮮味はないが「東京爆弾」というネーミングのシュールさは買いだ。

 しかしほとんどすべての出会いが居酒屋または飲み屋で行われてしまうのも「笑うせぇるすまん」の喪黒福造みたいなのでどうも歯がゆいっつーか「パクリかい!」という感じでいかがなものか?

 反面、喪黒福造のような陰湿さが少ないのは「東京爆弾」を配る狂言まわしのアベノ・竹中直人のビジュアルと彼自身もまたメフィストフェレスに導かれているような図式になっているからであろう。アベノに「東京爆弾は悪魔の手先なのか?」と問い掛けさせているところでそれが分かる。

 比較的若い出演者の中ではひときわオッサンな飲み屋の客・大門正明だけはあやうく「東京爆弾」を服用しなかったところにこの映画の解答がある。「私には3倍の力は荷が重過ぎる」その一言こそが「東京爆弾」というメフィストフェレスがファウストに挑んだ「賭け」の正体だ。

 このほかの出演者は、白昼堂々、売春に走るけだるい主婦・石野真子、こういうのが似合うお年頃になりましたね。かつてアベノの父から「東京爆弾」をもらったおかげで永遠の若さを手に入れた女・小松千春

2001年04月08日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-07