カリスマ |
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■公開:1990年 |
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宮崎駿が「ヲタク」の神様なら黒沢清ま「やおい系」の巨匠である。「CURE キュア」で恐怖の伝導師になった刑事のその後の物語。日本映画の最近のブームはどうやら「哲学」らしい。他人の哲学を聞かされるほど退屈、かつ、難解なことはない。 したがってほとんどの観客にとってはこの映画は退屈で難解だったに違いない。 人質と犯人の両方を死なせた刑事、蓮池・役所広司が、偶然目にした「世界の法則」という言葉に導かれるように、ある森で「カリスマ」と呼ばれる古木とその世話に明け暮れる青年、直人・池内博之に出会う。「カリスマ」を破壊しようとする姉妹の姉・風吹ジュン、金で買おうとする男・松重豊。 ある日、「カリスマ」を燃やされてしまった直人は金を持って迷い込んできた風吹の妹・洞口依子を殺害し、面倒を看ていた女・目黒幸子を捨てて森を脱出しようとするが力尽きる。森を枯渇させる「カリスマ」を排除しようとした男・大杉蓮とともに植林作業に従事していた男達は、自分達に命令していた数人を殺害し森を出ていった。 蓮池が見つけた新しい「カリスマ」は爆破された。 主人公は癒されようとして森に入っていくのだが、そこで出会った超然としていたはずの直人も「カリスマ」も、所詮は生身の人間と植物だったわけで、こうなりゃ自分で「カリスマ」を見つけようとするわけだがそれも金まみれにされ、挙句は木っ端微塵に成ってしまう。 「カリスマ」を取るか「森」を取るかの二者択一も蓮池のトラウマの回答なのだが、結局のところ彼は「あるがまま」という「世界の法則」の存在で自分を癒す。 生活にくたびれたオヤジが仕事にしくじって、時空の歪みに現実逃避したが結局逃げ切れず、大爆発!ってな「はあ?」なテーマをここまで哲学的に語り、インパクトのあるビジュアルにしてしまう黒沢清は凄い。 時空の歪みは、かつて、力士くずれの警備員(この映画にも登場する松重豊が実質上主演、営業的な主演は長谷川初範)が近代的なオフィスビルで淡々と人を殺しまくる「地獄の警備員」の頃からこの監督の十八番だったがだんだん深みはまって行ってるような気がする。 (2001年03月03日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16