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座頭市千両首


■公開:1964年
■制作:大映
■監督:池広一夫
■助監:
■脚本:浅井昭三郎、太田昭和
■原作:子母沢寛
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:勝新太郎
■備考:ジャパニーズ・マカロニ・ウエスタン


 猛獣は繋いで飼いましょう、とでも言いたくなるんだが、どうよ?「続・座頭市物語」でシチュエーションともに実の兄弟で戦ったお兄ちゃん、こと、若山富三郎(当時・城健三郎)が再び市の前に降臨する、しかもパワー200%増量で。

 座頭市・勝新太郎が、間違いで殺めてしまった男の故郷に墓参りをするためにやって来た村で、強欲な代官・植村謙二郎が土地の十手持ちのヤクザ・天王寺虎之助と結託した上納金強奪事件が起こる。村人たちが、国定忠治・島田正吾の手下が犯人一味に加わっていたと言い出したので、座頭市は真相究明に赤城山へ。

 たまたま知り合った馬子の女・坪内ミキ子は、実は市が殺した男の妹だったので、彼女の証言により、市も強奪仲間と疑われてしまう。忠治の無実を確認した市が村に戻ると、今度は親切な庄屋・杉寛が代官所につかまったと言う。市は助けに行こうとするが、ヤクザの助けは借りたくないと村人に追われる。

 市は千両を取り返すために、ヤクザのところへ乗りこむが、そこには凄腕の浪人、十四郎・城健三朗(若山富三郎)がいた。市は自分の濡れ衣もこのヤクザと用心棒・伊達正三郎の仕業と知り千両のありかを聞き出してから彼らを斬り捨て、そのまま代官所へ潜入、悪事の露見を恐れて逃げ出そうとする代官が仲間割れしたのを確認し、一刀両断に。

 凄腕の浪人・十四郎ってそれ近衛十四郎のこと?なるほど名前も強そうだ。

 国定忠治のエピソードや、座頭市が盲目ゆえに、とっさの反射で人を殺してしまった苦悩や、真っ正直な人たちに「ド盲!」とさげすまれても言い返せない辛さはとりあえず、置いておく。感動するけど、この作品においてそれらは全部二の次。

 この映画のキャストを見て、若山富三郎と勝新太郎が敵味方と知って、期待しない客はアホだ、この二人が一緒に出てたらその映画には100パーセント、トンでもないことが起こると思ってイイ。

 まず馬で突進するお兄サマが弟の首に鞭を絡めて引きずりまわすのである。まるでリンチされるジュリアーノ・ジェンマみてー!座頭市、ピーンチ!馬上で高笑いのお兄サマ!

 やっと振りほどいて仕込み杖を手にした市を今度はむちゃくちゃ走らせる!ついに踏ん張った座頭市により馬から落ちるお兄サマは、肩から落ちたつもりなんだけど、なんせホラ、お兄サマったら丸まっちい体型でオマケに重量あるからそのまま首が地面にめり込んじゃって、危ないのなんの、見ててハラハラしちゃったぞ。首がへし折れたかと、ってこれがホントの「千両首」なの?(ってちがう、ちがう)

 馬から下りた後は一瞬の居合で座頭市が勝利するんだけど、あの兄にしてこの弟あり、感無量である。

 前半は新国劇から出張ってもらった島田正吾の十八番が見所で、後半は「サンダ対ガイラ」も真っ青の大激突、と見せ場満載のシリーズ第六作。

2001年03月11日

【追記】

※本文中敬称略


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file updated : 2003-05-16