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ナイル


■公開:1999年
■制作:東映
■監督:和泉聖治
■助監:
■脚本:
■原作:吉村作治
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:渡瀬恒彦
■備考:北京原人の次はスフィンクスかい!?


 いつも思うのだがどうして東映ってこういう企画が出たときに止める人間がいないのだろう?やってんのが岡田ジュニアならまだ理解できるが、マーケットリサーチという概念は無いのか?この会社。もうすぐ21世紀が来るというのに・・・・。

 ピラミッドとスフィンクスのアップにかぶさる「ナイル」の文字、なるほどここはエジプトだ。主人公の見城・渡瀬恒彦は通信社のカイロ支局員で、三年前にエジプト人のジャーナリスト・ラニア・サイエド・ユーセフと結婚したが内戦取材中に流れ弾にヒットされて彼女は殉職。

 後任の浜田・哀川翔も到着し、本社の局長・津川雅彦から帰国を促された見城が、エジプトで発掘調査を続けている考古学教授・吉村作治に挨拶をしに行った翌日、教授が殺される。

 日本では、教授の息子が誘拐されていた。帰国した見城は再びカイロへ飛び、哀川翔、旧友の刑事・片桐竜次、若手の刑事・宍戸開らとともに事件を解明する。

 おおーなんだか字面だけだと「ナイル殺人事件」とでも呼べそうなストーリーだが残念、全然違う。

 大英博物館を「盗品倉庫」と罵倒したのはギリシア出身の女優で大臣だったメリナ・メルクーリだが、エジプトも状況は似たようなもんで、盗掘された金銀財宝はアンダーグラウンドに取引されていて、その業界ではマフィア顔負けの血なまぐさい事件が闇から闇へ。スリルとサスペンスとアクションと考古学が合体!というふうな映画になるはずだったんだと思う、この映画。

 、、、駄目だこりゃ。

 見どころになるはずのアクションシーンは、せっかく漫画みたいな高野拳磁(プロレスラー、ジョージ高野の実弟)という電波系のキャラクターを得ていながら砂漠で戯れるだけだったり、おまけに拳磁ったらトロくさい車に轢かれるし。フルスピードで突進して来た10トントラックならまだしも、たかがサイドブレーキの外れた4WD、止めろよ!拳磁、なんで踏まれるかなー。

 あーひょっとしてコレ「レイダース・失われたアーク」で「飛行機のプロペラに巻き込まれたウドの大木」のパクリなわけ?

 、、、駄目だこりゃ。

 戦争ゴッコまんまの内戦シーンとか、パリ・ダカールラリーのドンケツ争いみたいなかったるいカーチェイスとか、貧乏クサイったらありゃあしない。

 それでも一番の痛点は吉村作治先生だ。金でも出したのか?飛道具がストーリーの一番重要な役で、しかもシリアスに活躍してちゃイカンだろー。

 、、、駄目だこりゃ。

 ますます悪役面になってきた名高達男も単なる間抜けにしか見えないし、敵役のボスも死に方も仮面ライダーの敵キャラだってもうちっとマシな死に方するぞっつーくらいのご都合主義だし、うーん困った見どころらしきものがまったく無い。

 強いてあげるとすればマフィアのボスの女と二役だったラニア嬢のボディーラインに健全なメリハリがあったことと、その弟役の子役が実に二枚目でイイ芝居をしてたことくらいなもんか。

 片桐竜次と冬の日本海のカット、あれは笑えた、いつから健さんになったの?竜次アニキは。

 超能力サラリーマン、北京原人、ノストラダムス、と来て次はスフィンクスか。よくもまあこれだけ胡散臭いネタで映画作れるもんだな。

 こうしてツッコミどころ満載なのは東映の戦略なのかも、確信犯ならそれはそれで凄いのであるが・・・(違うんだろうな、たぶん)。

2001年03月03日

【追記】

※本文中敬称略


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file updated : 2014-04-27