実録三億円事件 時効成立 |
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■公開:1975年 |
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畜犬業、と言っても拾った犬を売りさばくといったイカサマ商売だが、ほとんどは愛人・小川真由美の稼ぎを当てにしているダメ男・岡田裕介は、金に困って農協に脅迫状を出す。 どーしよーもない状況で、ついに男がこしらえた借金のカタに家財道具一式を持って行かれた小川真由美は、岡田裕介が三億円強奪を計画していると知って全面協力を約束。白バイ警官になりすますための小道具一式、逃走用の車、発煙筒、偽装工作用のペンキ、などなど、あるものはかっぱらい、あるものは有閑マダム・絵沢萌子をたらし込んで得た資金を利用して、準備は着々と進んで行った。 そして決行の日。農協職員のボーナス輸送中の車を止めたニセ白バイ警官の岡田裕介は「車にダイナマイトが仕掛けられているらしい」と言って行員たちを非難させ、発煙筒でビビらせているスキに三億円の現金を輸送車ごと強奪、途中、逃走用の車に乗り換て、岡田の故郷の墓へ現金のみ隠した。 奪った金をすぐに使えばアシがつく。岡田と小川は転居こそしたが、相変わらずの貧乏生活を続けていた。 ヴェテラン刑事・金子信雄は徐々に縮小される捜査規模に逆行するように「グータラで金に困っている奴」をキーワードに執念深い捜査を続け、小さな証拠を積み重ねてとうとう岡田を真犯人としてマークし始める。 金にも女にもだらしない岡田を信用していなかった小川真由美は、密かに墓から金を取り出していたのだが、小川から金の隠し場所を聞いた岡田はかねてからの念願だった競争馬のオーナーになるために他人名義の口座を経由して全額ぶちこんでしまった。 時効が迫る中、岡田裕介が金子信雄に徹底的な取り調べを受けている間に、競争馬が伝染性の貧血という、検疫でひっかかったら間違いなく屠殺されるほどのオッカナイ病気であっさりと死んでしまう。 拷問に近い取り調べでキレかかった岡田裕介は、小川真由美の必死のフォローでなんとか自白は食い止められ、とうとう時効の日を迎えた。ボロボロになった岡田裕介は三億円がパアになったことを知らずに釈放され、小川真由美とともに何処ともなく姿を消した。 で、結局、三億円は競争馬業界に消えてしまったということなんですね。 競争馬なんてアナタ、素人が買うもんじゃありませんよ、いくら海外で有名だからって輸送中に死んじまっても誰も保証してくれませんからね、そんじょそこらの足腰の弱い金持ちなんか手も足も出ない世界ですのよ。 それを岡田裕介が演るってところが意味深いわけだね。馬も映画も水ものですから、ギャンブル性は似た様なもんでしょーが。ま、この映画の主人公とは違って実在の岡田ジュニアはもうちょっと金も知恵もあるんでしょうけど、けど「未知への旅人」に「北京原人」でしょ? まだ競争馬のほうがなんぼか罪が軽いンじゃないっすか?とか言ってる場合じゃないんだが、いや、実際、こうだったのかもしれないよね、清水一行さん(原作)サスガっす。競争馬の世界って動く金がデカい割にすげーいいかげんだからなあ。 小川真由美と岡田裕介が立ったまんまで、冷やご飯に味噌汁ぶっかけてズルズル食うシーンの異様な迫力がこの映画の全て。だって貧乏なんだもン!という犯人たちのすてばちな決意がこのワンシーンに全部込められている。人間ヤケクソになるとトンでもないパワーが発揮されるわけで、失うものなんてあるものか!という台詞を最も的確にビジュアル化した歴史的なワンシーンである、と言っても過言ではないかも。 (2001年01月16日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16