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唐獅子警察


■公開:1974年
■制作:東映
■監督:中島貞夫
■助監:
■脚本:野上龍雄
■原作:かわぐちかいじ
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:小林旭
■備考:


 旭さんと恒さんの対決はこの後、1993年の「民暴の帝王」で再び見ることができるのだがやはり鉄は熱いうちに打ての諺どおり、血気盛んな頃のほうがイイね、ドンパチは。

 女ぐせの悪い甲斐性無しの父親の正妻の子、片岡直人・小林旭には腹違いの弟、松井拓・渡瀬恒彦がいる。暴力沙汰を起こしてやくざになった直人は大阪で対立する組を全滅させた功績によりいっぱしの組長に出世する。

 二人の母親の面倒を最期まで看た弟の拓は兄貴に激しいライバル意識を燃やし、東京に出て愚連隊・川谷拓三成瀬正孝(スキンヘッド)を組織、直人の兄弟分、上田・渡辺文雄の縄張りで大暴れの挙句、直人が購入した拳銃を密売人・室田日出男をボコボコにしてこれを強奪、上田の組の組員を殺傷する。

 これが後に、関西系の暴力団との抗争に発展。拓は大阪の栗原・安藤昇と手を組んだので直人は板ばさみに。しかし結局のところ近代ヤクザの経済センスが物を言って関東系の古老・志村喬と右翼系の代議士・河津清三郎の尽力により速攻で手打ちが成立。しかし腹の虫が収まらない拓は、栗原と上田を射殺して日本中のヤクザを敵に回す。

 ラストは拓の抹殺を命じられた直人が生まれ故郷のスラム街に乗り込んでの対決シーン。兄弟は狭い路地を拳銃ぶっ放しながら壮絶なチェイスを続ける。直人がまず手を撃ちぬかれてコルトを飛ばした直後、拓の回転式拳銃の弾が切れてしまい、ドスと出刃包丁でケリがつくまでの行き詰まる攻防はスピーディーでクール。

 華のある旭さんと、野性味が身上の恒さんの対決。二人の「若さ」が生む疾走感は、まるで青春映画のよう。

 このように素敵な二人が、腹(周り、じゃなくて)違いの兄弟でしかも直接対決するなんて、それだけでも見る価値があると言うものだわ。

 兄弟の共通の幼馴染には、はすっぱな不良娘を演らせたら天下に並ぶものの無い賀川雪江。いつも生意気な女(の役どころが多いの)だが、さすがに本作品では恒さんと旭さんの手前、妙にイイ女だった。彼女、イイ男の前ではホント、おとなしいんだよな、ウン、役の話だけどさ。

 エンディングで延々と悶絶する小林旭が最後にハンドルにかぶりつく。壮絶、というよりもサーヴィスのしすぎでちょっと、、(笑)。

2001年02月11日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16