あなたと私の合言葉 さようなら、今日は |
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■公開:1959年 |
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戦後の映画で、今観ても錆びない風俗映画というのはかなり珍しい。この映画を見た三十過ぎの行かず後家はみーんな結婚したくなるだろうから、ブライダル産業の人たちはこの映画でプロモーションするといいかもしれない。 ちなみに、久里子亭は市川崑監督のペンネームである。当時の風俗をちゃっちゃっと手早くクッキング、てな感じ。 東京に住む青田和子・若尾文子は日産自動車のデザインセンターに勤めている。妹の通子・野添ひとみは国内線のスチュワーデス。父親の伍介・佐分利信はサラリーマン生活に嫌気がさしてただいま失業中、妻には先立たれている。 和子の婚約者、半次郎・菅原謙二は大阪に転勤になってしまったので早く東京に戻りたいと思っている。彼は母子家庭で母親のまさ・三好栄子は和子と息子結婚を心待ちにしている。 ある日、和子は「なんとなく結婚する気になれない」と、親友で料亭の女将をしている梅子・京マチ子にうちあけ、半次郎に婚約解消をしてくれるよう伝言した。半次郎は納得しなかったが、梅子は半次郎に一目惚れしてしまう。 娘に結婚を勧めながらも見合いを妨害する父親を捨てることが罪であると感じている和子であるが、実際に半次郎に去られてみると、逃した魚の大きさがヒシヒシと伝わってしまう。和子に憧れている夜間部の学生、哲ちゃん・川口浩には妹の通子が恋してしまい、、、。 若尾文子は、同性から反感を買う役をやらせたらたぶん、日本一の女優だろうが、この作品では逆に強烈なシンパシーを得るだろう。 相手が菅原謙二だったら何を躊躇してるのよ若尾ちゃん!とか思うワケだが、よく考えてみ、母親が三好栄子なんだぜ、おまけに長男だしさ、とまあ女は歩く資本主義なのであるが、それほど当時は鮮明でなかった「親の面倒をみる」ことのプレッシャーに苛まれる和子は今、日本にいっぱいいるのであるから、この作品の先見性は高く評価していい。 ちょっと見、近代的小津安二郎、という感じである。扱うテーマが似てるせいもあるだろうけど、妙にベタベタしてなくてドライな感じがするのは、ほとんどの台詞がおどろくほど無表情に機械的に繰り出されるからだ。 役者が客をおいてけぼりにする最も大きな要因は「勝手に興奮しまくる」ところであって、本作品にはそれがない。まあ、風俗映画というのは大体そんなだが。 どおって取り得のない作品かもしれないが、婚期が遅延する一方のニッポン独身女性にとって、最後の選択肢が海外留学という映画のテーマが今日ドンピシャなので今観たほうが、案外イケてるかも。 冒頭に登場する三人の独身と思われるサラリーマンの一人が柴田吾郎(後、田宮二郎)、その後の自信過剰なキャラは想像しにくいトッポい兄ちゃんをノンシャランと演じている。 (2001年02月04日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16