恋愛ズバリ講座

■公開：1961年
■制作：新東宝
■監督：三輪彰、石川義廣、石井輝男
■助監：
■脚本：
■原作：
■撮影：
■美術：
■音楽：
■主演：天知茂、菅原文太、沖竜二
■備考：新東宝倒産直前奇跡のオムニバス映画。

　第一話「吝嗇（けちんぼう）」：三輪彰・監督

　ギブアンドテイクが口癖のドケチ社長が若い娘に騙される話。

　リッチマン株式会社の社長・天知茂はバーの女・星輝美を愛人にしているが、そのお手当ても会社の経費で落とすほどのドケチ。彼が開催するセミナーにたまたま来ていた大富豪産業の女社長・小畑絹子はこのドケチ社長からなんとかして大金を巻き上げようとするうちに、恋に落ちる。女社長の秘書とバーの女は恋人同士で、一度は慎重な窓口係・伊達正三郎に怪しまれたが、ドケチ社長は秘書を女社長の使いだと勘違いして金を渡すように連絡してしまう。まんまと大金をせしめた秘書とバーの女はトンズラに成功。社長と女社長はあっけに取られるだけだった。

　第二話「弱気（よわき）」：石川義廣・監督

　田舎の顔役が欲ボケしている間に、娘は恋人と駆け落ち。

　ド田舎に日本最初の原子力発電所建設の話が持ち上がる。二束三文の山林や原野が高値で売れると皮算用した村長・林寛は自分の二号の芸者・若杉嘉津子を準備して東京から来る役人を接待しようと虎視眈々。そこへいかにも気の弱そうな男・菅原文太がやって来る。彼を役人と間違えた村長は早速、大宴会を開催。しかし男は村長の娘・池内淳子の恋人だった。娘はかけおちしようと誘うが男はどうも踏ん切りがつかない。ついに本物の役人・沼田曜一が村に来ることになり二人はバスに飛び乗った。

　第三話「好色（好色）」：石井輝男・監督

　マヌケな結婚詐欺師の馬鹿馬鹿しい末路。

　結婚詐欺師・沖竜二は顔面神経痛もちの花嫁・万里昌代を自動車事故に見せかけて殺した。次の獲物はオールドミスの幼稚園の先生・三原葉子。一見、ドン臭そうな女だったが酒が入ると人格が一変、ダンスホールで新東宝の新人俳優・吉田輝雄と一緒にストリップしちゃうようなトンでもない奴。そんな彼女に詐欺師は本気で惚れてしまい、仲間の妹・魚住純子を殺して一緒になろうとするが、そこへ先生の弟・浅見比呂志が現れる。

　新東宝最後の仇花。ノーギャランティのオールスター映画。

　第一話は出演者がみんなコマ落としで高速に動く、歩くたびにピコピコと足音がするという漫画みたいな映画。天知茂も小畑絹子もロボットのようで面白い。銀行の場面ではミョーに喋りも芝居もスローモーション。非人間的、機械的な描写がジャック・タチの映画みたい。

　第二話は菅原文太のワンマンショー。田舎紳士が繰り出す接待は実弾ではなく肉弾。若後家・山下明子、給仕・三田泰子の連続攻撃にたじたじとなった主人公が便所の窓から脱出しようとしてずっこけたり、若い衆に脅されて泣きそうになる。お色気ムンムンの若後家を演じた山下明子は、「地獄」で代議士・林寛の妾をやっていた人、定番だね。

　第三話は三原葉子がズーズー弁のオールドミスなんだが、やっぱやるだろーなーと思ったとおり、ダンスホールでストリップ！相手になる吉田輝雄も三原葉子のジャンボなお色気にぐいぐい迫られてるにもかかわらず「ぼく、怒っちゃうよ」の一言で意気投合、あいかわらずこの人の周りには時空の歪みがあるらしい。顔を引きつらせる万里昌代と沖竜二の結婚式をつかさどる牧師が嵐寛寿郎で、クソ真面目に笑かしてくれる。

　オールスター映画らしく、第二話に村の消防団員・宇津井健、最後まで芸のない人だね。ほかバスガイド・大空真弓が瞬間出演する。探してみ。

（2001年01月08日）

【追記】

※本文中敬称略

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