透明剣士 |
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■公開:1970年 |
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8マンは喫煙者だったが、本作品の主人公は薬物依存症である。 三四郎・酒井修は町道場に通っているが剣の腕前はからっきしで師匠・香川良介からも怒鳴られっぱなし。今日も少年剣士にボコボコにされてしまう。長屋住まいの三四郎の父親は生活を支えるために小者・桂三枝とともに夜警のバイトをしていたが、ある晩、怪盗団に殺された。 父親の敵討ちに燃える三四郎の目の前にノゾキ専門の妖怪、しょうけら・沖時男が現れて、秘境でしか手に入らない3つの植物を、誰にも見られずに一晩煎じれば秘密の薬が手に入るから、それを使って復讐しなさいと三四郎にアドバイスしてくれる。 三四郎はさっそく言われたとおりに薬を作って飲んでみたところ体も着物も消えてしまった。薬の持続時間は半時で、醒めるまえに3回くしゃみが出ると言う。薬はあと3回分しかなかった。 目明しの惣助・内田朝雄の娘、お鈴・新田洋子が酔っ払った旗本の勘十・五味龍太郎に襲われそうになった。三四郎は透明になって、お鈴を救い、小者から聞いていた犯人の腕にある般若の入れ墨を探したが勘十の腕にはなかった。 勘十が出入りしていた道場の主は鬼頭玄之助・沢村宗之助という。惣助が道場で怪盗団に襲撃された。透明になったときだけ死神・春日清を見ることが出来る三四郎は、枕もとに居座る死神が居眠りしている間に惣助の体をひっくり返して死神を追っ払う。 息を吹き返した惣助から怪盗団の正体を聞かされた三四郎は、最後の薬を飲んで犯人たちを追い詰めた。しかし途中で薬が切れてしまう。姿が丸見えの三四郎は果たして無事に父の仇を討てるのだろうか!? なーんてね、上手く行ったに決まってるジャン。 ところで筆者はこのような薬物依存のヒーローが果たして許されるのだろうかと途中まで心配だったのだが、それは制作側も同意見だったようで、ラストは知恵と勇気を振り絞り、薬の助けを借りないで悪玉を倒す。が、かなりトリッキーなので後味は悪い。 死神を欺く手口は古典的だが、ビジュアルで見せられるとそれなりに楽しいものだ。で、この死神を演じている春日清は、実は知る人ぞ知る戦前のチャンバラ俳優。また、妖怪役の沖時男は吉本新喜劇からの招聘である。特殊メイクで表情が出ないぶん、パフォーマンスの上手さが光る。やっぱ舞台上がりとサイレント時代を知ってる役者はアクションが上手い、なによりも間がいい。 お子様映画だが手抜きはない、いや、お子様映画ゆえに誤魔化しが効かないということだろう。こういう真摯な姿勢が当時の大映作品の素晴らしいところだ。 悪玉も真面目。大男の五味龍太郎、顔が工芸品のような沢村宗之助。透明人間相手ではやられるほうの演技だけが頼り。いかにも悪そうな分かりやすい演技がオーバーでユーモラスだが、不真面目でないから「お前なんかやられてしまえー!」と素直にヒーローサイドを応援できるのだ。 いいぞ、作るほうがこれだけ真面目にやってくれればお子様(と、元お子様映画好きな大人含む)も大満足! 勝新太郎に見出された酒井修が、薬物でヒーローになると言うのも偶然過ぎて怖いものがあるが、その酒井修本人も大麻疑惑で姿を消したことを考えると、笑うに笑えない話である。 コメディーリリーフで横山やすし、西川きよし、岡八郎らが出演。漫才コンビは単体で完成してるから、団体競技である映画に出るとうわっすべりするだけなので観ててツライもんがあるな。 (2000年12月03日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-06-06