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東海道お化け道中


■公開:1969年
■制作:大映
■監督:安田公義
■助監:
■脚本:吉田哲郎
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■特撮:黒田義之
■主演:本郷功次郎
■備考:


 「懲らしめられるくらいなら反省しよう」多くの昔話はこのような教訓をはらんでいる。

 自分の身をあやうくする書付を取り返すために、仁兵衛・玉置一恵を待ち伏せていた勘蔵・山路義人は、鬼塚で殺生をするとたたりがあると言う言い伝えを信じず、塚守の甚兵衛・左卜全の忠告を無視して、仁兵衛を殺し、口封じのために甚兵衛も斬った。

 書付は偶然、甚兵衛の孫娘、お美代・古城門昌美の手に渡るが、怖くなったお美代は書付を捨てる。勘蔵の手下、五郎吉・上野山功一に追われたお美代は、殺された仁兵衛の子分、百太郎・本郷功次郎に助けられる。

 油井の宿場にいる父親を訪ねるお美代を五郎吉が執拗に追跡。途中、やさしい馬子の少年、新太・保積ペペや、関取・島田洋之助、旅の女・今喜多代に助けられたお美代だったが、仁兵衛を裏切った賽吉・戸浦六宏に誘拐されてしまう。その間に、百太郎は勘蔵が雇った用心棒・五味龍太郎と対決して勝った。

 お美代が持っていたサイコロを見た賽吉は愕然とする。お美代が実の娘と知った賽吉はお美代を逃がそうとして捕まり書付のありかを詰問される。卑劣な勘蔵はサイコロ博奕に二人の命を賭けたが、手下の丑松・伊達岳志(三郎)がイカサマしたにもかかわらず、お美代が圧勝。

 死んだ母親の骨から作ったサイコロがお美代を守ったのだ。サイコロがひとりでにお美代の手のひらに駆け上った直後、鬼塚の妖怪たちが勘蔵一味に襲い掛かった。

 「妖怪百物語」「妖怪大戦争」などでおなじみの大映妖怪シリーズの最終作品ということだが、それまでのお子様向けファンタジーから、親子の情愛、大人の欲得づくの悪行など、かなりハードな展開だ。って、相対評価ですけどね。

 血は出るが、油すましは出ない。しかし子供(ただし良い子だけ)を守ると言う妖怪のセオリーは踏襲。勘蔵の子分に追われたが、ちゃんと刃物厳禁の掟を遵守した新太は、妖怪たちが追っ手をたぶらかしている間に逃がしてもらう。

 妖怪たちのバチアタリと、殺された人たちの怨念があいまって、生首が飛んだりするのでやはりお子様向きではない。第一、遺骨から作ったサイコロという仕掛けが相当にマニア向けだ(どんなマニアだ?)。

 お美代の実の父親が、「魔太郎が来る」の主人公キャラにクリソツな戸浦六宏というところが、さらにマニアック度アップなポイントだな。この人なら骨からサイコロくらい作るだろう、という客に納得してもらえるキャスティングと言える。

 本郷功次郎がパパなら良かったのにねーとお美代ちゃんはがっくりくるかと思ったが、やはり血は水よりも濃し!泣かせる話じゃないのー。

 いつもは浮きまくるコメディーリリーフだが、本作品は島田洋介と今喜多代という筆者好みのナイスな漫才コンビ。夫婦漫才はカカア天下が常道だが、女の眼から見ると、少々はしたない感じがして今イチ好きになれない。だが島田洋介と今喜多代は汚い言葉をゼッタイに使わなかったので品があって大好きだった。

 とかくシリーズモノの最後は惰性感が漂うが、本作品は凋落の傾向は微塵もなく、仕掛けも芝居も安心して観ていられる。悪玉の山路義人は戦前は林長二郎(長谷川一夫)の敵役で活躍した大ヴェテラン。大映美術スタッフの実力は言わずもがなだ。

2000年12月10日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-06