「日本映画の感想文」のトップページへ

「サイトマップ」へ


座頭市 あばれ火祭り


■公開:1970年
■制作:勝プロ、東宝
■監督:三隅研次
■助監:
■脚本:山田隆之、勝新太郎
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:勝新太郎
■備考:

ネタばれしてます!


 泣く子も黙る関八州は闇公方・森雅之と呼ばれる盲目の大親分に支配されていた。

 座頭市・勝新太郎は偶然助けた女郎・吉行和子が高貴な家柄の出と見抜いて人買いから救い出す。しかし後を追ってきた浪人・仲代達矢に女はあっさりと殺されてしまう。浪人は女の元亭主だった。

 あまり評判の良くない貸元・金田龍之介のもとへわらじを脱いだ座頭市は、そこで侠客にあこがれる梅次・ピーターに出会い更正させた。

 同じ盲目の身でありながら自分に従わず、いちいち正義の味方っぽい座頭市の行動にカチーンと来た闇公方は座頭市を殺そうと、次々に追っ手を繰り出すがことごとく倒される。力でダメなら情で座頭市を骨抜きにしようと考えた闇公方は、腹心の右の貸元・西村晃の一人娘、お喜代・大原麗子を差し向ける。

 お喜代の正体を知ってか知らずか座頭市の優しさに感動したお喜代は手ぶらで闇公方のもとへ帰ってきた。怒り心頭に達した闇公方は、大規模な花会を予定し、座頭市に点字の招待状を送った。お喜代と右の貸元の家族は人質にされてしまう。手出しの出来ない座頭市は、池の中央に置き去りにされた。やがて池は火の海となったが座頭市は水に潜って無事に切り抜けた。

 子供でも平気で殺す闇公方はお喜代の命とひきかえに座頭市に仕込み杖を捨てさせたが、手甲に隠しておいた火箸に気が付かず、首を貫かれて死んだ。

 妻と寝た男を斬ると思い定めた浪人が座頭市の前に再び現れ、対決した。浪人は座頭市の刀に当たった太陽の反射光で一瞬目がくらんだ隙に、胴を真っ二つに斬られて死んだ。

 「静かだ・・・」という台詞で大爆笑させられたし、とにかくこの映画の森さん、スッゲーぞ!カラーコンタクトでSFしてるじゃん!

 真っ暗闇に潜む座頭市を見つけられるのは闇公方だけ。これはなかなかスリリングな展開。それと、半馬鹿女(大原麗子)の尻をなでまわす森さんってのも一見の価値あり(か?)。

 勝新太郎が元大映組を従えて作ったワンマン映画。ワンマン映画でよくないのは才気ばしって目標を見失うこと。この映画もそういった典型であるが、森雅之だけは勝新太郎に掌握されることはなかった。なんでかと言うと勝が森雅之に惚れていたからだろう、と筆者は見たね。

 天才は天才を見抜くものなのさ。森雅之は勝新太郎とは全然違うタイプだが、どんな胡散臭い役でも客に納得させたと言う役者としての力量、つまり想像力の逞しさにおいて、二人は間違いなく天才だったと思う。

 で、森さん一人に全精力を使い果たしちゃったらしいので、ボロが出た、と言うより、森さん以外は見るべきものがない。ずっこけたのはピーター。「俺は男になりてえんだ!」ってこの人に言わせちゃうのって、ギャグか?これ。あと、どつき漫才夫婦のインサートもダルイ。

 お喜代を荷車に乗せて走る座頭市のシーンが「無法松の一生」してるのもサーヴィス過剰。仲代達矢はいつも真面目だが、別に彼でなくともいいんじゃない?っていう役どころだったので少々気の毒。

2000年12月03日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-02