怪猫五十三次 |
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■公開:1956年 |
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はじめに言っとくが、この映画には化け猫は登場しない。 岡崎城主の本多三河守・南条新太郎が老中に大抜擢。喜んだ三河守は御礼のために家宝の湯のみを、国家老の鳴海・南部彰三の娘、浪路・三田登喜子と婚約者の南・勝新太郎に江戸まで運ばせることにした。 公金横領で三河守に謹慎を命ぜられていた留守居家老の伝蔵・市川小太夫は、手下の小平太・千葉登四男(敏郎)と半介・三井弘次らに命じて、かつての愛人、藤波局・入江たか子と一緒に湯飲みを盗んで鳴海を失脚させようとする。 船頭のふりをして接近してきた小平太に襲撃された南は深手を負い、浪路は藤波局に刺殺された。南は通りすがりの漁師、松造・林成年に助けられた。 浪路の愛猫、鈴ちゃんが出発前に大暴れ。主人の安全を守ろうとした健気な鈴ちゃんの復讐はここから始まるのだ!と、期待はいやが上にも膨らむではないか。入江たか子もスタンバってんだし。おっと忘れちゃいけない、曲者の三井弘次もいるな、これをどう使うか? ほとんどの観客は導入部のスピーディーさと、入江たか子の純粋悪役ぶりにワクワクしていたはずだ。 ところがどっこい。南が夢枕に立った浪路の幽霊に案内された墓には浪路そっくりの女(実は双子の妹)がいて、、、。 浪路の幽霊に悩まされた腰元が藤波局の配下に斬られ、その藤波局もまた幽霊に追われて水車小屋で殺され、肝を潰した半介は小平太に斬られ、、とにかくいつまでたっても化け猫が出てこない。 湯飲みを奪った伝蔵が小平太とともに三河守に返還しに行くと、事の次第は幽霊に化けて真相を探っていた双子の妹と、彼女と乳兄弟だった松造によってすでに報告済。追い詰められた伝蔵と小平太は、南と双子の妹によって討ち取られた。 ここで大半の客は叫ぶのである(主に心の中であるが)。 おーいっ!化け猫はどーしたあ?入江さん出てんのに、なんで出ないんだぁ? 化け猫路線のマンネリ打開っていう気持ちはわかるけど、こりゃないわ、怪猫ってタイトルが詐欺じゃん!きぃ〜っ!いやあ、参りましたねー。幽霊っても加害者の罪の意識が見せた幻影って感じだし、後半は偽物でしょう?化け猫出さないだけじゃなくて、怪談映画ですらないんですよ、この映画は。 本物の猫はビシバシ出てくるんですけど、途中でアッサリやられちゃうし、もう、なんなのコレ? とまあトホホなだけの映画なんですが、見どころがただ一つ。 小柄な市川小太夫の立ち回りがあまりにもカッコイイのでビックリ。飛んだり跳ねたり、で、決めるところはバシっと決める。やっぱ訓練されてる人は違うわ。この運動神経で、男性初の化け猫役ってのは面白かったとおもうけど、どうよ? (2000年12月03日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-06-02