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サラリーマン出世太閤記


■公開:1957年
■制作:東宝
■監督:筧正典
■助監:
■脚本:笠原良三
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:小林桂樹
■備考:


 以前から解せなかったのだが、なぜ東宝のサラリーマンもので小林桂樹はモテモテなのだろうか?さんざんモテない奴が実はいい人だったと周囲が理解して幸せになる、それならわかる。安全パイだからか?やはり「健全」を最大のウリにしたい会社の思惑というやつであろうか。どーも納得いかん。

 大学の応援団で部長を務める木下秀吉・小林桂樹も、就職活動の季節を迎える。卒業まで残り2試合となった母校の野球試合後、同級生・土屋嘉男藤木悠らは応援に来なかった前田圭一郎・宝田明を糾弾するが、彼は平然と「就職希望先企業の重役の娘とデートしてた」と言い訳する。

 木下は就職希望先を日本自動車に絞っていたが、推薦枠から漏れていると聞かされてガックリ。定食屋のエイ子・団令子に励まされた木下は、日本自動車社長、左右田・加藤大介に直談判しようとするが相手にされない。

 偶然知り合った左右田の秘書、千枝子・白川由美のはからいで一次試験をパスできた木下だったが、母校の応援に熱を入れすぎて面接試験に遅刻してしまう。

 前田は、左右田の姪、悦子・安西郷子とデートを重ねた甲斐もあって、成績優秀で採用が決定する。木下も社長の鶴の一声でなんとか就職するが配属先は本社ではなく京浜地区の工場。

 しかしメゲない木下はそこでも大ハッスル。倉庫あらし・広瀬正一を捕まえて新聞に掲載される。負傷した木下の病室では、エイ子、千枝子、悦子が三つ巴に。そこへ前田が、地方工場への転勤を告げる命令書を持参してくる。左右田社長が若い頃、赴任した工場だと知っていた木下は張り切って出発するのだった。

 、、、、つづく。

 これはハナからシリーズものになるので、かような中途半端なエンディングである。

 東映の「ギャング忠臣蔵」は討ち入り直前でちょん切られたトンでもない映画で後編がとうとう作られなかったが、東宝はそういうことはなく、この後、「続〜」「続々〜」「〜課長一番槍」などと続くので安心するように。

 豊臣秀吉の成り上がり物語サラリーマン編、であるから、猿が小林で、犬がおタカだ。ルックス的には妥当なキャスティングと言えよう。

 が、しかし、小林桂樹(当時34歳)が、宝田明(当時23歳)の同級生という設定に驚愕しない人はいないだろう。小林桂樹は頬っぺたプルプルの童顔がウリだし、役者は化けるのが商売とは言え、強引過ぎるにもほどがある。

 また、小林桂樹が宝田明をさしおいてモテモテというのも如何なものか?病室で先に見舞った白川由美の花を思いっきりゴミ箱へ叩き込む団令子、それに輪をかける安西郷子。これが上原謙ならいざ知らず、どう考えても納得行かん。

 ま、完璧な安全パイだけがかもし出す、安心感というのは買える。母性本能を刺激させるという点で評価すれば、宝田明と比較してそこだけは理解の範囲だ、ってヒドイこと言ってないか?ま、いいか。

 植木等のようなスチャラカなるキャラクターは望むべきも無く、努力、根性、辛抱、という三種の神器を兼ね備えた、日本人が大好きな立身出世物語。

 突然ですがお知らせです。主人公が新入社員のオリエンテーション途中で立寄る部署で、画面中央のよく目立つポジションで小切手の振り出しをしているらしい名も無き若手社員は中丸忠雄です。この年に公開された「地球防衛軍」で初めてクレジットされるので、まさにデビュー直前の初々しいお姿、見てみ。

2000年11月19日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-02