徳川女刑罰史 |
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■公開:1968年 |
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腕の良い大工の新三・吉田輝雄が怪我をした。治療費を肩代わりしてくれたドスケベ商人・上田吉二郎は、新三の妹、おみつ・橘ますみを狙っていた。 商人に小遣いをもらった権造・沢彰謙、勘太・蓑和田良太が新三のところへ商人を案内してくる。目の前でおみつを犯された新三はあんなデブの変態野郎にとられるくらいなら!とおみつに愛を激白後、首に剃刀を突き刺して自殺を図る。 お兄ちゃんやめて!のはずだったおみつは、新三の、自分を責めるような目をみて何をトチ狂ったのか剃刀を思いっきり引いてしまう。大流血の末に息絶える新三、おみつは死罪を言い渡される。 ところが奉行所の与力、吉岡・吉田輝雄がお兄ちゃんにそっくりだったのでおみつはビックリ!吉岡の温情を断ったおみつは満ち潮の浜辺に逆さはりつけにされて溺死。 あまりにも残虐な刑罰を科す鬼のような同心、南原・渡辺文雄が関わった事件を調べる吉岡。 ミヤコのやんごとなき家の出であるアンジュ院主の玲宝・賀川雪絵は、なにをかくそう付役の尼僧、燐徳・白石奈緒美とレズビアンな仲。ある日、尼僧の妙心・尾花ミキが本院の僧侶、春海・林真一郎とセックスしている現場に出くわした玲宝は嫉妬に狂って妙心を拷問にかけて殺してしまう。 それでも妙心への恋慕を捨てない春海に怒り狂った玲宝は、春海の首をナタで叩き斬った。役人に取り囲まれた玲宝は春海の生首をかかえて大暴れ。燐徳は発狂。一同を捕らえた南原は、自分で斬り殺した玲宝と、狂った燐徳を磔にし、見せしめのために槍で突き殺したのだった。 日本一と呼ばれた彫り物師、彫丁・小池朝雄は江戸一番の芸者、君蝶・沢たまきに入れた拷問絵図の墨を南原に馬鹿にされた。彫丁は湯屋の三助・由利徹に手引きさせて抜群に肌の綺麗な町娘、花・三笠礼子を誘拐する。 南原に本物の拷問を見せてもらうために長崎までやって来た彫丁は、牢屋敷で、隠れキリシタンの外人女、ハニー・レーヌらを逆さに吊るしたり、水に頭から突っ込ませたり、犬ころのように首輪をつけたり、叩いたり伸ばしたりの苛烈な責めを見学する。同行していた吉岡は呆れるばかり。しかし彫丁は地獄の羅刹の断末魔の顔を画きたいと申し出て、イキナリ南原を刺す。 悶絶する南原、喜んでその表情を花の身体に入れる彫丁。押し寄せる役人に刺青を入れた花をとられまいと抵抗する彫丁。やがて牢屋敷は火事になる。外人女と花だけはなんとか吉岡が助け出したが、南原は絶命、彫丁も焼け死んだ。 これって芥川龍之介の「地獄変」がプロットなんでしょうかね。映画のほうは南原が貴族(中村錦之助)、彫丁が絵師(仲代達矢)、監督は豊田四郎。 いやにあっさり引っ込んだなあと思っていたら、あっという間に復活してしまった吉田輝雄。まわりがどんなにド変態な領域に踏み込んでも、ナイーヴに悩む異次元なキャラ。あまりにも冷静かつ常識的な「どうしてこんなことをするんだろう?」という素直すぎるモノローグはモデル体系の二枚目だという事実を割り引いても大笑い。 女優さんをモノみたいに扱って、、ということで現場では反対運動まで起きたらしい本作品。時代ということでしょうかね、現代ならまあ別に?っていう感じで、と言う事は今見ても平気なくらいだから当時としては「やりすぎ」だったんでしょうね。しかしよく了承したもんです女優さんたち。まるで川谷拓三さんの扱い(捨て身の熱演)ですからねえ。私が親なら止めますが。 責められるほうが愉悦の表情になるというのはある種の自衛本能みたいなとこなんでしょう、脳内麻薬って言うんですか?アレです。入れ墨というのもそういう面があると思うし、想像ですけども、人間ある程度マゾッ気なりサドッ気なりはあるわけで、そういう、人間の理性や常識から見ればとても難解な部分を面白いということで一気に画ききったのが本作品。 心の暗部を開いてどうだと見せ付ければ不快感を持つ人がいるのは当然で、だけどそれは映画=フィクションとしての面白さとは無縁じゃないかと思うんですね。こんな映画上映しちゃいけない、という意見もアリだと思いますが、それはちょっと観るほうを馬鹿にしてるんじゃないの?とも思います。あんな酷いことしちゃいけないんだと子供に教えれば良いんですよ、子供は見れませんけどね、この映画。 (2000年10月14日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-06-01