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仲よし音頭 日本一だよ


■公開:1962年
■制作:大映
■監督:井上芳夫
■助監:
■脚本:逸見多十
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:本郷功次郎
■備考:カメオ出演というのは楽しいものだがここまでくるとすでにオールスタア映画。


 大手広告代理店「弘電社(電通?)」に勤務する加納・本郷功次郎は有力スポンサーである日の丸電器を獲得するように上司から命令され、ツテを求めて大学の先輩であるテレビ局のディレクター・大瀬康一に協力を依頼する。

 日の丸電器の宣伝課長・中条静夫はライヴァルの「有報堂(博報堂?)」の営業担当に接待漬けにされて飼いならされているので、加納には分が悪い。おまけに一本気な加納は先輩を侮辱されたことに腹を立てて宣伝課長をぶっ飛ばしてしまう。

 上司からめちゃくちゃ怒られた加納は辞表を提出するが「こんなことでいちいち辞めて満足か?」と言い返された加納は再度、先方へ出向くが当然ながらまったく相手にされない。

 満員電車で知り合った喫茶店のウエートレス、由美子・三条江梨子がたまたま宣伝課長と懇意にしていたので、加納は仲介をしてもらおうとするがホテルに強引に誘われそうになった由美子を助けるためにまたもや暴力沙汰を起こしてしまった。

 そのころ、大阪で事業にしくじった加納の父、源次郎・中村鴈治郎が上京。昔の仲間だったチンドン屋の社長・ミヤコ蝶々と副社長・南都雄二に頼んで住み込みの従業員となる。

 女好きの源次郎が偶然、日の丸電器の社長令嬢、礼子・叶順子と面識があったので加納は紹介してもらうが、なんと礼子は加納と同じ大学でかつてラグビー選手だった加納のファンだった。

 話はトントン拍子に進み、加納は「日本一の大スタア」が競演するイベントを企画することになった。ところが映画スタアのスケジュールの都合がつかなくなり加納はピンチに。そこでまたもや登場した源次郎は昔の知り合いで、元大映撮影所の結髪をしていて今は美容院の経営者である、まさ・浪花千栄子のツテを思い出した。

 イベント当日、島倉千代子村田英雄五月みどり等の歌手はなんとかかき集めたが映画スタアは手違いでなかなか会場に到着しない。やきもきする一同、ついに加納のクビは風前の灯に!と、そこへにぎやかに長谷川一夫京マチ子若尾文子山本富士子市川雷蔵勝新太郎が続々と到着。イベントは大成功した。

 最初からわかりきったストーリーに大映のオールスター、この明るさ!都合のよさ!馬鹿っぽさ!こりゃまるでハリウッド映画みたいだ。

 さてこの映画は映画業界の内幕モノとして見るのが正解だ。

 この業界、ツテとコネが無いヤツはとことん相手にされない。そりゃま、虚業の世界だからしゃーないと言えばそうなんだけどなんともやりきれない話だ。

 だってさあ、主人公の企画だってイカレポンチのオヤジが苦し紛れに考えたモンだし、そんな上手くいくわけないじゃん!実際、企画に必要な魅力的なタイトルもターゲットも明示しないで、普通通らないって!と思うんだけど、お色気お嬢様の鶴の一声で「キマリ!」ってんだから開いた口がふさがらんね。

 てなわけで、そういう一部の業界人が悲しくなるような場面はさておき、ここはひとつゴージャスなスタアの共演を楽しまねば!

 これだけの映画スタアを一堂に集める浪花千栄子。本人のキャリアと実績の事実関係を映画の中に効果的に持ち込んでくるというのも凄いが、雁治郎と元夫婦で本郷功次郎と母子だったというオチも凄い、読めるけどね。

 さてもう一人のヴェテランで暴れん坊なパパ、雁治郎は実は大スタアの一人として来るはずだったのが「いや、あれはいらん、老人(フケ)やさかい」と本人の台詞でオチがついていた。

 強烈な長谷川一夫の流し目と市川雷蔵の踊りは見もの、あと勝新太郎だけはあんまり(先の二人に比べると)踊れないんだけどこれはご愛嬌ね。

2000年08月27日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-01