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続 大奥(秘)物語


■公開:1967年
■制作:東映
■監督:中島貞夫
■助監:
■脚本:中島貞夫、国弘威雄
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:小川知子
■備考:主演の小川知子が大熱演、緑魔子は意外と?普通。


 商家の娘、おちさ・小川知子は若年寄、阿部・小沢栄太郎の養女。義姉のおしの・桜町弘子は大奥で将軍、家冶・三島雅夫の寵愛を受けるお手付中臈だった。

 おちさを阿部に推薦した板倉・西村晃は、おちさを抱いた。大奥へ上がったおちさは中臈、藤岡・宮城千賀子の計らいもあり、速攻で家冶のご指名を受けて夜伽の相手を命じられる。若いおちさに家冶はもう夢中!

 おかげさまでそれまでの相手、おしの、おふで・万里昌代、おこと・緑魔子は面白くない。特におしのはおちさにライバル意識ギンギンだったので、家冶はおしの性格がキツイのを知っていたらしく、彼女を家来の遠藤・新田晶玄の拝領妻に下げ渡してしまった。

 ある晩、エキサイトしすぎた家冶が腹上死。将軍の代替わりとともに大奥の女中たちは実家に戻されることになったが、お手付き中臈は懐妊のチェック後、尼寺に幽閉、一生そこから出られないのだった。こうなると、大奥を出ていたおしのはラッキーな立場、次期将軍の乳母として再び大奥へ。

 おちさが送られた尼寺は庵主の英法尼・東山千栄子が代々の中老たちを預かってきた寺。ところがどういうわけか皆早死しているらしい。

 ある晩、先代将軍の中臈が素っ頓狂な声を上げて廊下で大暴れする事件が起こった。若いみそらで一人の男の位牌を守りつづける人生なんてトンでもないわ!というわけで幽閉された女たちは発狂したり自殺したりしてたのだった。これを目の当たりにして絶望したおふでが首を吊って自殺。

 いくら男日照りだからって、、とは思うが寺の坊主・藤岡重慶に抱かれたおことはその件がバレたため、迎えに来た親族に斬り殺された。

 そこへ板倉の女房のお民・木暮実千代が来ておちせに金をせびった。たまたま墓参りで外出を許されたおちせに、出会ったおしのは亭主の遠藤を見せびらかした。ヤな女だね、まったく。

 おしのが大奥へさっさと入ってしまい、いいように使われた遠藤に同情したおちせは頻繁に尼寺を抜け出して遠藤と密会する。すべては板倉の策謀だった。女を道具のように扱い、権勢をほしいままにする将軍家への意趣返しのために遠藤とおちせを利用したのだった。

 嫉妬に狂ったおしのは、おちせ殺害を目的に追っ手を派遣。密会現場に踏み込んだ侍たち・川谷拓三らを斬った板倉と遠藤は死んだ。取調べを受けたおちせは、事の露見を怖れたおしのと阿部の要請にケツをまくり衆人環視の中で、不義密通を世間に暴露した。

 以来、尼寺からの外出は一切、禁止となったのだった。

 筆者(東京在住)の高校では修学旅行は北海道と決まっていたが、前年、先輩が現地の女子高生を宿舎にひっぱりこんで大騒ぎしたため京都に変更された苦い思い出がある。つまり、おちさがやらかしたのはこういう事なわけだ。

 おそらくおちせ以後のお手付中臈はおちせは「迷惑な先輩」だったに相違ない。だがこのような制度への反逆者が積もり積もって、、革命の火種は小さいことの積み重ねである。

 前作の「大奥(秘)物語」に比べるとモノが小さいように思われるが、キャラクターの情念は濃い。小川知子も小さな身体で本当によくやっている。

 出演者の面子と急造なゆえの荒削りなところがあり、パッとしないように思えるがなかなかどうして見どころは多い。本作品のナレーションは東野英治郎、慈愛たっぷりでこちらも聞きもの。

2000年10月08日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-06-01