赤線玉の井ぬけられます |
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■公開:1974年 |
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赤線:(警察が地図に赤線を引いて示したことから)売春が公認されている地域。(「広辞苑」第五版・岩波書店、より) 昭和三十三年、東京の玉の井の「小福屋」というところで働く売春婦たちの物語。 シマ子・宮下順子にはヒロポン中毒の志波・蟹江敬三という恋人がいて、この男はシマ子から巻き上げた金でバクチや若い女に入れ揚げるどうしようもないヤツ。志波の入れ墨にほれ込んだシマ子は、男の墨の龍が手にするカス札に対して、太ももの内側に「さくらに幔幕」の模様を入れている。 公子・芹明香は客の一人・古川義範と結婚する。しかし彼のセックスがへたくそだったため、初夜からどうもかみ合わない。公子はふらりと赤線へ戻ってきた。女将・絵沢萠子は心配するが、亭主はついに迎えに来なかった。 直子・丘奈保美は、他店からくら替えの話が来ている繁子・中島葵が作った「正月1日に26人ゲット」の記録を破ろうと、小福屋の主人・殿山泰司から教わった「股火鉢」の技術で大奮闘。ふらふらになったところで遅い客・高橋明にヒットしてしまい、記録突破は水泡に帰す。繁子は早朝、ひとりでそっと玉の井を後にした。 非常に興味深い風俗映画です。 また、なぜ「日活ロマンポルノ」という、ポルノにロマンがついているのは何故か?ということがよくわかる映画、でもあります。ポルノに情緒がある、ここんところがアダルトビデオとの違いなんでしょうね、きっと。 行くところまで行き着いてしまい、引き返すことが出来ない。この映画に登場している女たちはほぼ全員そういう境遇とコンセプトで生きています。屋根に登って首吊り自殺ギリギリの真似事をしている売春婦はこれを日課として、鬼気迫る表情で繰り返すのです。 こんな男とつきあうなんてアッタマ悪いんじゃないの?と思われる宮下順子ですが、ダニのような蟹江敬三とはこのまま続きそうです。普段、粗雑で粗暴な人間がふと垣間見せるやさしさ、というものに女は弱いのです。 玉の井をぬけて行かれるのは、通り過ぎる男たちで、女たちはその境遇を受け止めてそこに留まります。そこにはひと時でも、女と男の情話が生まれるのです、いえ、そういうものがあった時代の、哀しくて可笑しいお話です。 (2000年10月22日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-06-01