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黒の駐車場


■公開:1963年
■制作:大映
■監督:弓削太郎
■助監:
■脚本:星川清司
■原作:黒岩重吾
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:田宮二郎
■備考:


 特許は企業の命である。商品化しなかった特許を山のように保有し後発メーカーから金をまきあげて巨大化した企業は多い。

 元やくざで今は小さな製薬会社の社長、泉田・田宮二郎はかつて自分に目をかけてくれた大手製薬会社、丸木製薬の重役・見明凡太郎が突然自殺した原因に疑問を抱く。

 泉田の会社では新薬の開発が優秀な研究者、服部・仲村隆の手によって進められていたが、臨床実験などの設備がないため医大に協力してもらっていた。医大からの帰り道、研究資料を狙われた服部は資料を密かに隠す。

 製品化にはまだまだ時間がかかるため泉田は発表を差し控えていたが、丸木製薬の新社長、角沼・小沢栄太郎が勝手に記者会見を開いてしまう。丸木の株価は高騰した。世話になった重役は殺されたのだと確信した泉田は、重役に最後に会った日に同行していたホステスに呼び出された駐車場で何者かに襲われた。

 泉田の研究を買いたいと、丸木のライヴァル会社の女社長・中田康子が接近してくるが泉田は丸木に義理立てして断ってしまう。ライヴァル会社の立派な研究設備に憧れ、丸木の新社長が信用できなかった服部は泉田と対立して会社を飛び出した。

 新薬の発売が延期になったので丸木製薬は倒産寸前に。責任を泉田に押し付けた角沼は、ちゃっかり丸木の株を高値で売り飛ばして社長を辞任してしまう。

 角沼に会社を食いつぶされることを予想した重役は、女社長に泉田の新薬を託そうとしたので殺されたのだった。新聞記者の典子・藤由紀子、いつもはけんかばかりしている元不良の職工・工藤堅太郎らの協力で、証拠を握るホステスと殺し屋・千波丈太郎を押さえた泉田は角沼の前で事実を暴露した。

 丸木製薬を見限った泉田は服部と一緒に女社長のところへ出向くと、すでに新薬の研究資料は何者かに盗まれて商品が発売目前になっていた。勝ち誇る女社長に、余裕の泉田は、製法特許がすでに申請済みであると告げた。

 黒のシリーズにおける田宮二郎は要するに知的な二枚目のヒーローなんだけど昔はやくざだったとか、結構ヤバイ不動産屋(「黒の超特急」)だったりとかするので、なかなか複雑なキャラクターである。こういうハングリーな役どころってのも田宮さんには超お似合いなのよね(筆者、田宮二郎のファンです)。

 土壇場の逆転満塁ホームランが「製法特許」だったというのははっきり言って、女社長が馬鹿だったから。普通、調べるでしょー?そういうのは、計画した段階からね。

 主人公が元やくざだったので会社に雇われてるのも前科もちとか元不良少年なんかでイロイロとトラブル起こすんだけど、そういう連中にも体当たりな田宮さんってまさに理想の上司よねー。金八先生なんかよりも田宮さんの整った顔立ちとベルベットヴォイスで説教されたほうが一発で更正しちゃうよねー、だって不細工なヤツのコンプレックスから出てくる「擁護論」なんて聞く気になれないもーん(筆者、田宮二郎の熱烈信者です)。

 でもってワルの千波さんをやっつけるためにはその職工さんたちが大活躍、抜群のチームワークを見せる。ほーらね、みんな田宮さんに心酔してるんだよー、わかるなーウン(筆者、田宮二郎の狂信的なファンです)。

 女性記者役の藤由紀子も本気で田宮さんとラブラブ、っていうか田宮さんってそういうの顔に出ちゃうの?って感じで見ててウラヤマシーんだけど嫌味じゃないのよね。

2000年08月27日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-31