御法度 |
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■公開:1999年 |
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痛々しい映画である。往年の名監督とか巨匠とか天皇とか言われちゃったりなんかして、持ち上げられてしまうとたいていの人間は勘違いするか、持ち上げている人の期待に応えようとして空回りするのが常である。 新撰組の屯所に二人の新人が入ってくる。一人はまだ前髪の美少年、惣三郎・松田龍平、もう一人は田代・浅野忠信。 隊長の近藤・催洋一、土方・ビートたけしらは、十八にもなって前髪のままの惣三郎をいぶかしがるが、彼の美貌はたちまち田代らを虜にしてしまう。 惣三郎に惚れたのは田代だけでなく、先輩の湯沢・田口トモロヲもまた同様に積極的に惣三郎と関係を結ぶ。ほかにも惣三郎を誘う者が出そうな気配となり、土方は山崎・トミーズ雅に命じて惣三郎を遊郭へ誘い出し童貞を捨てさせようとするが、太夫・神田うのを目前にして何もできずに帰ってきてしまう。 湯沢が殺され、山崎が襲撃された。現場に落ちていた小柄から犯人は田代と断定される。田代の処刑を命じられた惣三郎は川の中州に田代を誘い出し斬りかかる。腕は惣三郎のほうが上だったがなぜか田代には稽古のときも勝てない惣三郎。 物陰から見守っていた土方と沖田・武田真治の目の前で、惣三郎は田代に何事かをつぶやいた。とたん、力の抜けた田代の胴体を惣三郎の刀が切り裂いた。田代は死ぬ前に真犯人は惣三郎だと言った。惣三郎は田代を切る前にある人物の名前を口走った。それは惣三郎に惚れていた田代を動揺させる人物だった。 すべてが終わり、中州を去ろうとした土方に、沖田は「忘れ物をした」と言い走り去った。彼はある人物を斬りに戻ったのに違いなかった。土方は惣三郎の美貌が故の悲劇を見つめていた。 字幕スーパーを無声映画のように使い演技以前の芝居しか出来ない主要人物の実力と、画を作りきれない予算の制限をカヴァーしようとした努力は大いに認めるも、それが痛々しさとなって伝わっては客として相当にツライものがあった。 松田龍平は初々しく、また妖艶で本人の希望するところではないかもしれないが「たおやか」であり役柄としてはハズレていない。何事も一生懸命なのは良いことで多少技術的に難でも伝わってくるモノだ。 「外見は普通だが役どころはヘン」が定番化しつつある田口ロモロヲ、やっぱりこういうオチだったか、と納得は出来るがそろそろ飽きたぞこういうの。私にとって「沖田総司」は草刈正雄が最高峰なのだが、あのテイストがほんのちょっぴり帰って来た感じがして嬉しかったね。 とにかくも、殺陣の不細工さをカヴァーしたカメラとセットに大拍手。それに衣装がミリタリー調なのも冒険的で好きだ。時代にマッチした「カッコよさ」があるもの。 だけど最後に、名前は無くとももっと使える俳優がいたのではあるまいか?としみじみ思ってしまったのだが。ネームバリューを下げれば金が集まんない現実を知っているだけになんとも気の毒な映画だったなあ。 (2000年08月17日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-31