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アギ 鬼神の怒り


■公開:1984年
■制作:ホッチ・ポッチ・プランニング
■監督:浦崎謙
■助監:
■脚本:早川光
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:益岡徹
■備考:


 平安末期、近江守・岡田英次は領地内の「アギの橋」を渡ると妖怪に殺されるという噂があることに苦慮していたがにわかには信じがたい。

 お人よしの太郎・益岡徹には美しい妻・中村久美がいた。太郎の妻を狙っている仲間の郎党・伊武雅刀や僧兵・赤星昇一郎にそそのかされた太郎は、近江守の名馬を借りてアギの橋を渡る。そこは鬼女・蜷川有紀や、死骸をむさぼる野人が住む魔境だった。

 馬を惨殺され腰を抜かした太郎がやっと館に帰りついた夜、突然、弟・江上真悟が訪ねてくる。妖怪が変化したのではないかと疑った太郎が妻に刀を持ってこさせようとしたが、妻は躊躇した。その隙に、弟に化けた鬼・ピーター・J・ライアンは正体を現し、怯える太郎の首を噛み切った。

 近江守は郎党と僧兵をアギの橋に差し向けた。妻は太郎の首尾を河原に埋めた。妖しげな陰陽師・天本英世の忠告にもかかわらず、アギの橋を渡った一団は、仲間に乗り移った鬼によって次々に殺されていった。

 残された近江守も鬼の怒りに触れたため鬼に襲われた。亡き太郎の幽霊に出会った妻は、夫の復讐に燃えていた。そこへ鬼に体を奪われた下女が現れ、鬼はアギの橋に住んでいるのではなく、人の心に住むのだと聞かされた妻の手はすでに鬼のような醜い手に変化し始めていた。

 映画の全編をワーグナーの「ワルキューレ」が包み込む。うーんこれ聞いちゃうとどーしても「地獄の黙示録」に頭が行ってしまう筆者なのだが、それも相当歪んでますが。

 この映画を観てヴェルナー・ヘルツォークの「アギーレ・神の怒り」を思い出してしまう人がほとんどでしょうが、筆者は鬼メイクの空気ポンプでぶくぶくと顔が歪むところで即「スキャナーズ」思い出しちゃいました。マイケル・アイアンサイドって「鬼」っぽいじゃん?ちょっと強引だけどさ。

 かぼちゃみたいな赤星昇一郎の頭から角がボコボコっと湧き出してくるところはもう生理的に鳥肌立つんですが、出てきた鬼が、鬼というよりエイリアンぽかったのが面白いですね。

 死んだ太郎が妻の前に出てきたときはてっきり鬼が化けてるんだと思いましたけど、単なる女房恋しさの幽霊でした。ここいらへんは原作の「今昔物語」をぜひ読んでみたいところです。あ、ちなみに筆者は映画に原作がある場合、必ず原作を後に読みます。自分で先にイメージを作ってしまうと映画とのギャップでがっかりしますんでね。

 妖怪と人間の結界を侵さなければ共存も可能だったのでは?ということで鬼は昔話の中では様々に寓意的なキャラでしたが、今回も同様、先に手を出した人間様はなす術もないのです。

 まあ相当に乱暴な「もののけ姫」ってところかしらね。

 とにかくやたらとヨダレ垂らすのが大好きな鬼くん。なんか口臭とかも凄そうなのでできれば一生涯お会いしたくないキャラクターですな。純和風ホラー映画にハリウッド産スプラッター風味のこけおどしセンスをぶち込んだ鬼映画。

2000年08月05日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-31