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南極物語


■公開:1983年
■制作:フジテレビ
■監督:蔵原惟繕
■助監:
■脚本:蔵原惟繕
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:高倉健
■寸評:


 たとえ公開時の興業成績が抜群に良かったとしてもその後、他のメディアではなかなかお目にかかれず、結局のところ幻の名作となってしまう場合がある。「日本沈没」は阪神淡路大震災の影響であり、「漂流」はカツオドリをマジに撲殺するからであり、「火まつり」は子殺しのシーンが重要で切れないからであり、「冷血!」は犯人が実在の人物だからであり、、以上は憶測であるが、本作品もまた「実話」ベースなので色々と配慮が必要なのだろう。別に入場者数ナンバーワンを目指し、大量の切符を押しつけられた某テレビ局およびその下請けの人たちの怨念によるものではない、と思うが。

 ま、概ね社会情勢の変化、なんだけどね。

 昭和33年、南極越冬隊は引継ぎの便船が氷塊に阻まれて到着できなかったため、日本全国から借り集めた樺太犬を基地に置き去りにした。突如、人間がいなくなったことで不安になり、やがて飢餓状態になった犬たちのうち何頭かは首輪を抜き、鎖を引きちぎって脱出に成功した。

 日本に戻った越冬隊員の高倉健は、基地で生まれた子犬を連れて犬を供出してくれた飼主のところを訪ねて詫び歩く。荻野目慶子からはなぜ犬を置き去りにしたのかと非難され、代わりに持ってきた南極生まれの子犬は荻野目の妹から「こんなモノいらない!」とつき返される。

 「モノ」って言い草はねーだろーがこのクソガキ!とか思いつつ、本当に可愛がってたんだねえと思わず涙の筆者、ならそんな危ないところへ行くのを承知でなんで貸したんだ!と怒り半分、複雑な心境、それはさておき。

 その頃、南極の犬たちはリーダー犬・リキの指導のもと、アザラシを襲ったり、氷に閉じ込められた魚をほじくって必死に生き延びていたが、あるものは海に落ち、あるものは崖から転落し、シャチに襲われ、ノイローゼになって暴走し、仲間とはぐれ、徐々にその数を減らして行った。

 そして1年がすぎた。再び越冬隊に加わった高倉健と犬の調教係だった渡瀬恒彦は、基地で鎖につながれたまま息絶えている犬たちを発見する。絶望しかかった二人の前に、生き残った兄弟犬・タロとジロが姿を現した。

 これって実話なんですよね、タロとジロが生き残った、というところだけが。越冬隊が基地を離れてから2頭が発見されるまでは完全なフィクションです。誰も見てないしタロとジロは口が聞けませんから当然ですが。

 そんで撮影に使われた犬も大変な目に遭ってると思うんですよ。事故のシーンは概ねプールらしきところですけど鼻まで水に突っ込まれてますから犬がマジで怯えてもがくんです。犬飼ったことある人なら分かると思いますが、鼻が利かなくなるのが犬にとって最大の恐怖ですもんね。酷え!って叫んじゃいましたよ思わず。

 いや、実際、犬が人語を解さなくて本当に良かったと思うんですよ。だってあなた最後まで人間は仲間なんだから自分らを裏切らないって信じてたんでしょう?犬は。「燃料が無いから」とかまさか自分たちより荷物や人間を優先して逃げ出したなんて思ってないわけでしょう?

 それに餌の無い厳しい環境でどんだけ苦労したか逐一報告された日にゃあ、耳を覆いたくなるような壮絶なサバイバル語られちゃうかもしれません。出演した犬も同様でね。

 もう取り返しがつかないことですから、せめてこの映画を観て思い出してあげましょうね、人のために苦労させられた犬たちがいたことを。

2000年05月21日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16