宇宙大怪獣ギララ |
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■公開:1967年 |
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ゲシュタポの手先みたいな風貌だが実は優秀な科学者である博士・フランツ・グルーベルと日本宇宙局所長・岡田英次により、火星探検ロケットが打ち上げられることになった。 メンバーは機長・和崎俊哉、色っぽい女性科学者・ペギー・ニール、医者・園井啓介、通信士・柳沢真一。月面ステーションに向かった一行のうち園井はイキナリ体調を崩してしまう。 ステーションの通信員・原田糸子は和崎俊哉が好きだったのだがペギー・ニールに嫉妬して、他の通信員・藤岡弘の忠告にも従わずに無茶な誘導をしようとする馬鹿娘だったが、なんとか無事に到着できた一行のうち園井啓介は脱税容疑ではなく体調不良を理由に戦線離脱、かわりにアサインされたのは文句ばっか言う外人の医者・マイク・ダニング。 すったもんだあったが一応、火星探検へと出発した彼等は途中で発光するどら焼き状の空飛ぶ円盤に遭遇、不気味な隕石がエンジン部分に付着してしまう。とりあえず探検旅行を中止したが手ぶらじゃなんなので謎の隕石のパーツを地球に持ち帰ることに。 そのパーツはいかにも怪しい光を発していたがある晩、職員がちょっと目を離したスキに保管容器を溶かして逃走、研究施設の電気エネルギーを吸って巨大怪獣へと成長してしまう。 怪獣はいつのまにか「ギララ」と命名されて、あちこちの原子力発電所やらのエネルギー施設を襲撃しながらますます成長、自衛隊の攻撃も全然歯が立たない。ギララは東海村の原子力発電所をかぎつけて一目散に突進。困ったときの米軍詣では自衛隊のセオリーだがよほどあせったのかこともあろうに核兵器の使用を打診、しかし同じ国に三度も落とすのは難だよね、ということでこの計画は頓挫する。 相変わらず役立たずな自衛隊を尻目にギララをやっつけるためにはギララニュームという物質が有効だということを発見した和崎俊哉は自衛隊の戦闘機にこの物質の噴射を依頼する。 その頃、宇宙局の研究所はギララに襲撃されていた。逃げ遅れたペギーを助けるために、フランツ・グルーベルが持ち込んだエネルギー物質を餌にギララをおびき出す和崎俊哉の目の前で、ギララニュームを浴びたギララはドロドロに溶け、もとの小さな塊になってしまった。ほっと一安心したペギー・ニールはロケットでギララを宇宙の果てにぶっ飛ばした。 得体の知れないものをなんでもかんでも拾って来て災害を起こす科学者、というのがSF映画には常。さらに、小さなうちに処分してしまえばよかったものを、研究者としての欲でもってその機会を失わせて被害を拡大するのも彼等である。 トラブルメイカーがいなければドラマは始まらないのであるが、今回はその上、一人の男をめぐる女同士のバトルまで加わるのだ。それ全部一人でさばく役回りの和崎俊哉はてんてこ舞いである。相方の柳沢真一はヘラヘラしているだけだし、岡田英次には畏れ多くてそんな面倒かけられないし、フランツ・グルーベルはいざとなると裏切りそうだし。 宇宙に行けば知力より体力のほうが有り余っているようなワガママ外人に振り回される、そもそものっけから虚弱体質のメンバーの面倒みなきゃなんないわ、たいして美人でもない原田糸子と典型的なアメリカ娘のペギー・ニールの板ばさみなるわ、頼りにならない自衛隊の代わりに体はって怪獣やっつけなきゃならないわ、気の毒で見ちゃおれん。 この映画は、和崎俊哉の生真面目すぎるキャラクターのおかげで、なかなかファンキーはデザインのギララがイマイチ乗り切れなかったなあという感じだ。これが東宝の特撮三馬鹿兄弟、こと佐原健二、高島忠夫、久保明のいずれかであったらもっと映画全体が華やかで馬鹿っぽくなってとてもよかったンじゃないかと思うんだな、宝田明だったら尚可。 怪獣映画って怪獣そのものとカラミの人間とのマッチングがすごく大切。お互いのキャラクターを生かすためにも次回はひとつ、フランツ・グルーベルと並んでも見劣りしないタッパがあって、どんなあほ臭い状況でも常に冷静沈着、実は怪獣よりもよっぽど何考えてるんだかよく分からない吉田輝雄あたりをアサインしてほしかったんだが松竹の怪獣映画はこれっきりになってしまったそうだ。 ちなみにこの映画には主題歌がある、歌っているのは倍賞千恵子、呼びかけ台詞もあってかなり恥ずかしい楽曲だが一度聞けばやみつきになるかも(嘘)。 (2000年07月24日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16