「日本映画の感想文」のトップページへ

「サイトマップ」へ


フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン


■公開:1965年
■制作:東宝
■監督:本多猪四郎
■助監:
■脚本:馬渕薫
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■特撮:円谷英二
■主演:古畑弘二
■備考:


 豚をおだてると木に登る(「タイムボカン」参照)らしいが、ここ日本ではタコが怒ると山に登るらしい。

 第二次世界大戦末期、ドイツの研究所から密かに「フランケンシュタインの心臓」が運び出された。

 厳重に梱包されたケースの中身を知らされずに日本まで護衛した海軍大尉の土屋嘉男は広島の病院で軍医の志村喬から、フランケンシュタインの不死の心臓を研究して死なない兵隊を作る計画を打ち明けられた。

 その時、広島に原爆が投下され心臓は行方不明になった。

 戦後十数年経過して、広島の町に浮浪児が出没する。彼はとにかくハラペコで飼い犬などを喰ってしまうため警察に追われていた。細胞研究の科学者である水野久美は同僚のニック・アダムスといちゃいちゃしていた時、偶然、浮浪児と遭遇し彼を保護することになった。

 浮浪児はぐんぐん成長しその食欲も大爆発、どうやら白人の血を引いているらしい浮浪児はマスコミの話題になる。無粋なマスコミがたく無神経なフラッシュに興奮した浮浪児、っつうか体はすっかり巨人になってしまった古畑弘二は、ボリスカーロフよかはるかに不気味な面相で大暴れ。テレビ局のディレクター・加藤春哉と照明係・大村千吉をぶっ飛ばして病院の倉庫を脱走。

 逃走中の浮浪児が、やれ鳥小屋を襲撃しただの、牧場の牛を全滅させただのという噂を聞きつけたのは、戦後、油田開発の仕事をしていた土屋嘉男。広島の巨大浮浪児がフランケンシュタインの心臓のなれのはてではないかと思った土屋嘉男は水野久美にそのことを告げる。

 フランケンシュタインの心臓はたんぱく質さえ与えつづければパーツになっても生きつづけるというのだ。

 水野久美、ニック・アダムス、そして高島忠夫というあまり学力よりも体力勝負という学者トリオはフランケン坊やが凶暴になったという噂を鵜呑みにして浮浪児の射殺もやむなし、なんてことを考えたりするが彼がフランケンシュタインであることが証明されるとイキナリ擁護派に回ったりするトンでもない連中だ。

 その頃、チンクシャ顔にロンパリ気味の目がキュートな地底怪獣・バラゴンはキャンプ場を襲撃し逃げ遅れた高橋紀子をはじめ、ロッジの職員に至るまで一人も残さず食べてしまった。人喰いの濡れ衣を着せられたフランケンシュタインは湖の遊覧船なんかをからかったりしてノンビリ富士山を目指して移動中。

 所轄の警部・桐野洋雄や県警本部長・田崎潤を経て、大阪府警の幹部・藤田進に至りようやくバラゴン真犯人説を信じてもらった水野久美は早速、富士山麓へ向かう。だいだらぼっちサイズになっていたフランケンシュタインは、突如現れたバラゴンに驚いて逃げる途中、すっ転んだ水野久美を救いにカッコ良く登場、ついでに高島忠夫まで助けやって再び富士裾野の森の奥へと姿を消した。

 フランケンシュタインは燃え盛る山火事をものともせず、バラゴンと格闘し見事、胴締めで一本勝ち、じゃなかったバラゴンの息の根を止めたのだった。

 この後は海外輸出用のオマケらしい。

 と思ったら、自衛隊と一緒にギャラリーしていたニック・アダムス(ただし声は納谷吾郎)の「あ、タコだ」の一言でどこからともなく巨大なタコが出現!

 タコにからみつかれたフランケンシュタインは湖の底に引きづりこまれてしまった。それを見た自衛隊はな、なんと「任務完了、退却」してしまう。

 おい!お前ら何やってんだ?あの巨大タコ見ただろう?また出てきたらどうすんだよ!あいつには水野久美のお色気作戦なんか効かないんだぞ!という観客の叫びはあっさりと無視され映画は終了。テレビ版を見た人は一人残らず呆然としたことだろう。

 映画もアバウトなら出てくる奴等なんか、どいつもこいつも、、。

 一応、理系という役どころじゃなさそうだけど海軍大尉がドイツからもらった謎の物体を「秘密兵器の凄いやつだったらイイのになっ!」とかいいかげん極まりない台詞吐くなっつーの!おまけに「また金と暇があったら駆けつけますよ!」の捨て台詞を残してさっさと逃げ出すし、ってこれ全部、土屋嘉男だ。緊急事態だっつうのに妙にはしゃいでるし、やっぱこの人、根っからの怪獣好きらしい、ってことだな。

 英国ハマープロダクションが作ったフランケンシュタインのイメージは確かに怖かったけどビジュアル的にはなかなか「整ってた」と思うのだ。しかし本作品のソレの造作はマジで怖い、っつうか不気味だ。あの「歯並びの悪さ」がその元凶かもしれない。人間、歯は大切にしたいものだ。

 フランケンシュタインが水野久美になつくわけだけど意外と冷たいんだよね彼女。所詮、研究対象でしかなかったわけだし、だって傍にニックアダムスがいたし、コイツなんかこともあろうにフラちゃんの頭を椅子で思いっきり殴ったりして、それって研究者としての立場を逸脱してるぞ!って感じ。まったくアメリカさんは怒らすと何しでかすかわかんないよな、ったく。

 てなわけで、生身のフランケンシュタインとバラゴンのプロレスもなかなか迫力満点だったけど最後のタコが意味不明、撮り足しだからしゃーないけどね。

2000年07月22日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16