惑星大戦争 THE WAR IN SPACE |
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■公開:1977年
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SF映画において音楽というのはとても大切な要素である。で、津島利章ってどうよ? 実写特撮映画において爆破シーンと言うのは華である。で、火薬馬鹿・中野昭慶ってどうよ? 前置きが長くなったが、こう、なんて言うんでしょうかね。この映画を語ろうとするとどうしても馬鹿文章になってしまうので困るのよ、実際。「惑星大戦争」と「宇宙からのメッセージ」、ドンパチ系の監督が特撮やるとどうなるか?っていう実証映画。 宇宙開発たけなわの頃、突如、連絡を断った宇宙ステーション。搭乗員、三笠・新克利の最後の言葉は「ローマ船だ!」という意味不明の内容。やがてUFOが雲霞のごとく地球に押し寄せて攻撃を始める。まるで「世界大戦争」のように吹き飛ぶビル、まるで「日本沈没」のように裂ける大地、まるで「東京湾炎上」のように炎をあげるコンビナート。 地球が地球が大ピンチ(「ファイヤーマン」参照)というわけで、巨大宇宙戦艦・轟天号の開発を密かに進めていた滝川博士・池部良は、宇宙人のスパイに付け狙われながらもやっとこさ完成。幕僚・平田昭彦(様)、中山昭二らに見送られて、敵の前線基地である金星に向かって発進した。 メンバーは、三好・森田健作、室井・沖雅也、冬木・宮内洋と滝川博士の愛娘、ジュン・浅野ゆう子とその他大勢(外人1名含む)。迎えうつのはガレリア船みたいな戦艦、大魔艦とUFO軍団を率いる武闘派エイリアン、ヘル・睦五郎。 さて、これからジョージ・ルーカスもびっくり、という素晴らしいスペースウォーズが展開されると期待した観客はたくさんいたんですよね。私はもちろん平田昭彦(様)目当てで、日比谷映画(当時)に封切り初日に観に行ってしまいました。 「アテとフンドシは手前から外れる」という諺が正しかったことは映画開始数分後にはハッキリとしてしまうのです。 主演が池部良。ここでほとんど全ての観客は映画の雰囲気がとても陰鬱になりそうな予感を持ちました。「宇宙戦艦ヤマト」におけるミリタリーオタク的なストーリーをなんとなく予想した人も。オールドタイマーズは「潜水艦イ−57降伏せず」あたりを思い出したりなんかして。 客の予測は概ねクリーンヒットしましたが、それに追い討ちをかけた、というかさらなるパワーアップを実現したのが、派手で分かりやすいが過剰でマニアックな演出で知られる福田純監督でした。 チューバッカの「ぱちもん」としか思えない謎のゴリラはヘルの忠僕ですがどえらい馬鹿で動きも緩慢、あっという間にやられてしまうのです。一応、お約束の美女拘禁的シーンもあるにはあるのですが、浅野ゆう子が着ていた衣装は出来損ないのSMの女王様みたいで全くイケてないのです。「バーバレラ」を見てないのか!と怒った人もいたかも(私です)。 宇宙人の皆さんが、これまたどう見てもバリバリのジャパンアクションクラブ、な人たちで、だから死ぬ時はトンボ切るなっつーの!という感じで、特に宮内洋が射殺されるシーンは、かつての東宝ギャング映画が得意としたドンパチなテイストにまったりと包み込まれていました。 そして沖雅也と森田健作の「青葉繁れる」コンビの友情劇。これも沖雅也があまりにもあっさりと死んでしまうので、モリケンがただの馬鹿みたいでした(みたい、は余計ですが)。 クライマックスは、波動砲ではなく実は核弾頭だった轟天号のドリルを人間魚雷にしてしまう池部良です。相変わらず棒読みの台詞ですが、カッコイイので私は許します、思った通りのやる気の無さ。しかしその寡黙な表情がなかなか味わい深い物があって、汗かいて大活躍した若手をしり目に特攻し、美味しいところを全部さらってしまうのです。 ところで睦五郎はどこの出身かと言うと、恒星・ヨミ。「黄泉の国」の王様で名前が「ヘル(地獄)」、しつこい名前だなあと思いました。 そんなこんなでダルダルなんですけども、私としては平田昭彦(様)が貧乏臭い小さなセットで繰り広げる誠実な緊迫演技が見られたのでそれなりに幸せでした。 そうそう大事な事を言い忘れました。この映画はこともあろうに金星をぶっ飛ばしてしまいます。しかもその紅蓮の炎にあわや轟天号がまきこまれそうになるんです。さすが火薬馬鹿、そこに手抜かりはありません。最後の大爆破シーンは火薬をふんだんに使ってとてもゴージャスです。 CGもビデオエフェクトもなし、手作りの特撮映画です。せめて怪獣の一匹か丹波哲郎でも出してくれれば満足したのに、、、泣きました。 (2000年04月17日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16