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不良番長・手八丁口八丁


■公開:1971年
■制作:東映
■監督:内藤誠
■助監:
■脚本:松本功、山本英明
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:梅宮辰夫
■備考:ピーターは火星人?


 不良番長もついに37歳になった。

 モトクロスのレース会場に潜入し、事故処理をするフリしてちゃっかりバイクをかっぱらったカポネ団・梅宮辰夫安岡力也鈴木やすし、らは神田うのの数倍は頭の悪そうなフーテン娘・フラワー・メグに通報されてしまう。

 盗品専門のバイク屋のオヤジで大正生まれの自称「元祖不良番長」である由利徹にあと一歩で売りさばけるところで、警官隊(隊長、団厳)に逮捕され2年6ヶ月のムショ暮らしを経験。出所後、セックス研究家・浜かおるを騙して、セックスカウンセラーを名乗り有閑マダム・園佳也子から金をまきあげようとしたところを、カポネ団とは犬猿の仲である暴力団に見つかりほうほうの体で逃げ出す。

 根城にしていたボロアパートには女好きが高じて寺をたたき出されたバチあたり坊主・地井武男も転がり込んで、梅宮辰夫はトホホ状態。おまけに大家からは強制立ち退きを宣告され、とうとう野宿生活になりかかったのだが、そこへ暴力団幹部・室田日出男が現れある仕事が成功したら金をやると言う。

 その話に飛びついた梅宮は、まぼろし探偵社の社長・山城新伍も仲間に引き入れて群馬県へ。途中、鉄道自殺しようとした女・大原麗子を保護して、ついでに青カンしたカポネ団一行は、国定忠治を御神体とするトンでもない神社に辿り着き田舎芝居で神主・玉川良一を信用させ、フラワー・メグに女の武器で玉川を口説き落とさせようとしたが、地元やくざの女親分・宮城千賀子があらわれ作戦は失敗する。

 室田日出男は土地開発公団の総裁・永井秀明とグルになり、地上げで儲けようと企んでいたのだった。そこで、なかなか立ち退きを承諾しない玉川良一にスキャンダルを起こさせてたたき出そうという狙いだった。ネリ鑑(練馬少年鑑別所)仲間の待田京介との再会も果たした梅宮辰夫は、押し寄せる暴力団と対決する。

 今回のカポネ団には強力な助っ人がいます。待田京介さん?ではありません、火星人です。人里離れたゴージャスな別荘で独り暮らしの上、両親から億単位の小遣いをもらっている、そんな奴おるかい?的な謎の美少年・ピーター。彼は超能力で空飛んだりとか、札束出したりします。普通の人間がこんな事したらかなりアブナイ人ですが、ピーターなら全然平気、というか説得力すらあるから凄いです。

 さて、女優と女郎の区別をしない平等主義の東映(うそうそ)ですが、大原麗子さんは薄幸の身の上だったはずなのに、梅宮辰夫と山城新伍によって「開通式」された直後、一気に自分の人生にリセットかけてしまいます。カポネ団のペテンに積極参加、お人好しの彼等をリードするまでに至るのです。あ、それから大原麗子さんって運動神経無さそうですけど、乗馬はそこそこイケてました、余談ですが。

 例によって例のごとく、不良番長のみなさんは全員、汚れた中年男ですがそんな世間の常識や社会通念を吹き飛ばす捨て身のサーヴィス精神には、客としても頭が下がります。「俺は四十になっても番長だ!」という梅宮辰夫の台詞にたたみかけるような「あと3年」という山城新伍のナイスフォロー。でも実際は四十までもたなかったんですけどね、このシリーズは。

 刑務所の中で越中フンドシで馬鹿踊りをしたり、セットに突っ込むブルドーザにあやうく轢かれそうになったり、ジャンボなお色気の有閑マダムにヘッドシザースかまされたり、それでもなお目が恐い梅宮辰夫。そんな梅宮辰夫を実生活でも兄貴と慕う安岡力也。友愛こそが「不良番長シリーズ」の神髄である事がとてもよくわかりますね(そうだろうか)。

 でもって例のごとくほとんど全滅状態になるカポネ団ですが、次回作には多少メンバーの入れ替えがある程度でみんな揃って出てくるので悲愴感はありません。梅宮辰夫がダルダルに熱唱する「番長シャロック」もお聞きのがし無きように。

2000年04月17日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16