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忍術千一夜


■公開:1939年
■制作:大都
■監督:大伴龍三郎
■助監:
■脚本:
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:
■主演:近衛十四郎
■備考:


 ドロンパ 、、、と言ってもオバQのライバルではない。忍術を用いて瞬間的に、けむりのように姿を消す様子を表現する最もポピュラーな言葉である。最近とんとお目にもお耳にもかからなくなったけど、この頃はそーゆーのにみんなワクワクしたんだね。

 偶然手に入れた忍術虎の巻で遊んでいた美男子侍・近衛十四郎とその友達の小太り侍が、適当な忍術を試して遊んでいるといきなり大水が起こって二人とも流されてしまう。美人の姫・水川八重子がいる藩に流れついた二人は怪しい奴だということで(いや、実際かなり怪しいのだが)牢屋へ叩き込まれる。

 近衛十四郎は牢番に忍術を見せてやるぞと言い姿を消してみせ、驚く牢番のスキをついてまんまと脱獄に成功する。お姫様には縁談話が持ち上がっている。隣の藩の殿様が姫と結婚したいと言うのだが、お姫様はこの殿様が大嫌いなのだ。そもそもこの縁談は政略結婚なわけで、しかも相手の殿様がお姫様の全然タイプじゃないのだ。ところが血迷った殿様は人手を使って姫様を誘拐してしまう。愛の力は時として理性を失わせるものだ、特にブサイクな野郎の丘惚れは始末が悪い。

 近衛は早速、隣の藩の城へ忍び込んで、忍術虎の巻を駆使し煙のように姿を消しては現われるを繰り返して敵を撹乱、ついに姫様を救出したのだった。やっぱブッサイクよりかはイイオトコのほうがイイに決まってる。お姫様に限らず、女はたいてい面食いだからね。たとえどこの馬の骨だかわかんないヘンな奴でも、二枚目ってのはトクだね、ウン、説得力があるもんね。

 お姫様を無事に連れ戻した御褒美に近衛十四郎は姫様に見初められ、友達の侍にも恋人ができた。忍術虎の巻はもとの持ち主である仙人の手に返された。

 サイレント映画ってこんなに面白いモンだったんですねえ。今までせいぜい、阪東妻三郎とか大河内伝次郎のチャンバラ映画をちらほら見ただけだったんだけど、こういう特撮モノのサイレントは初めて見た。

 近衛十四郎の若い時って素晴しく美型なのよねえ。なんか今ならジャニーズ系って感じ。

 豪放磊落とか渋い中年男、なんてのが全然後のほうの魅力だってこと、この時代の映画観てやっと理解できた。松方弘樹も目黒裕樹もてんでイモ兄だぜ(くらべるなよ)!この頃のパパ・近衛十四郎に比べたら。細面で、上品で、スマートでカッコイイ、細くて高い鼻筋、八重歯(か?)がのぞく口元のキュートなこと!

 サイレントの俳優はみんな古くさい顔だなんていう先入観はポイしなさいね、とにかく近代的二枚目だったよねえ近衛先生は。

 で、意外と見応えのあるのが忍術シーン。近衛先生をはじめみんなアクションが大仰なのはサイレント映画らしい感じだけども仕掛けがあるぶん違和感が少ない。スモークの煙の中からバーっと出て来るところなんかまるっきり漫画っぽくてとにかく楽しい。

 こりゃ、昔の子供はワクワクしただろうなあ、こーゆーの見て。だってわずか20分たらずの尺なのに、話はスピーディーだし、煙はばんばん出るし、チャンバラもあるしだもんなあ。戦後の子供にとっての「変身ヒーローもの」みたいだったんだろうね。だから近衛先生ってある年代の少年にとっては憧れのヒーローだったに違いないね。

 美人のお姫様を演じた水川八重子は後に近衛十四郎と結婚して本当の奥さんになった人。

2000年01月09日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16