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青い海原


■公開:1957年
■制作:東映
■監督:小林恒夫
■助監:
■脚本:中田竜雄
■原作:
■撮影:
■美術:
■音楽:船村徹
■主演:美空ひばり
■備考:春日八郎も出て来るゾ。


 港町、横浜のホテル「海猫」は船乗りたちの溜まり場。美空ひばりは、酒好きだが船員仲間から信頼されている船長・宇佐美諄の父と一緒に住み込みで働いている。

 ホテルのマダム・三条美紀は愛人である港のボス・山口勇とはそろそろ倦怠期になっていて、そこへ偶然、宇佐美を訪ねてきたイカす船員・高倉健が現われので、三条は大人のお色気をふりまきつつ、山口が若い美空ひばりにちょっかい出しそうなのでヤキモキしていた。

 荷物の陸揚げ作業中に事故で怪我した仲間の保障を山口の部下・高木二朗に頼みに来た宇佐美をうっとうしく思った山口は事故に見せかけて宇佐美の船に火災を起こさせる。船に乗り込んでいた若い衆・春日八郎のおかげで命は助かったが失明してしまった宇佐美は船に乗ることができなくなりホテルからも締め出される。

 死んだ仲間から高倉健があずかってきた預金通帳と写真は、実は美空ひばりの出生の秘密に深く関わるものだった。実はひばりは宇佐美の実の娘ではなかったのである。狼狽するひばりであったが、生みの親より育ての親の格言通り、ひばりは宇佐美の面倒を一生看るつもり。ところが彼女が受け取るはずの預金通帳がマダムに取り上げられてしまったので、宇佐美の手術代を工面するために見かねた春日八郎がこともあろうに高木二朗から借金をしてしまう。

 その借金を返すために高倉健は密輸船に乗り込むことになる。高倉健のおかげで借金は返済したが、こんなヤバイ手段でなくまっとうな金儲けを目論んだ春日八郎は自慢の歌唱力で身を立てる決心をする。ついでに歌がめちゃくちゃ上手な美空ひばりも歌手デビューを果たし、親子ともどもやっと生活が安定するかと思いきや、、、、。

 中年男の色狂いは始末が悪い。山口勇はなんとか美空ひばりをゲットしたくなり、ついでに春日八郎にも脅しをかけて一儲けしようと魔手をのばしてくるが、そこへ警察に追われている高倉健がカッコよく登場、悪者どもを追っ払ってくれた。美空ひばりを見守る立場の春日八郎だったが、ハワイ巡業の話が持ち上がり、それならいっそ、美空ひばりと結婚しようということになるだが、ひばりは高倉健のことが好きだとわかり、彼は潔く身を引く。

 歌あり、アクションあり、という結構ゴージャスな作品ですよコレ。

 美空ひばりは気が強い、ってこれドラマの中の話ですよ。客商売の下働きのくせに客に酒をぶちまけて「ゴメンサイ」の一言で済まそうとして、それで相手がさらに怒ると「謝ってんのになにさ!」とムクレる。ま、荒くれ男相手にナヨナヨしてらんねえって事なんですけども、本作品の美空ひばりはあまりチヤホヤされていないのが新鮮な感じ。

 酔いつぶれた宇佐美を担いでホテルに戻った高倉健がこれまたつきあいでしこたま酔っ払っていて、怒ったひばりが階段の上から高倉健を思いっきりブッ飛ばす、なんてシーンもあります。

 春日八郎と美空ひばりの共演なわけですから、ひばりのワンマン映画というわけじゃあないんですね。歌も二人ぶんきっちり聞かせます。

 高倉健が演じる船員はかなりやくざな御性格なようで、とりあえず金儲けしようとポーカー賭博に手を出し、そこで実は結構なカオである、という設定なんですね。そこんところはあまり詳しく語られないのですが、こういうラフな感じの高倉健は後年開花する魅力の「めばえ」というところなのかも。

 高倉健はひばりが所属するプロダクションに一度は入社しようとしててたまたま東映に入ったらしいので、あながち無関係じゃないようです、で、これが初共演作品。

2000年02月18日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2007-12-16