黒シリーズ・黒の試走車(テストカー) |
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■公開:1962年 |
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自動車業界ってのは開発期間が長くて単価の高い商品扱ってるから、産業スパイにはことさら神経質だ。 タイガー自動車の企業戦士(文字通り)となった開発企画一課の朝比奈・田宮二郎は尊敬する上司の小野田部長・高松英郎の指示の元、開発中の試走車の走行実験中、派手な転倒事故を目撃。即日、業界紙にすっぱ抜かれたため、小野田は専務・見明凡太郎から製造中止を促されるがなんとか接得に成功。 朝比奈は自分の彼女、昌子・叶順子をライバルメーカー、業界最大手ヤマト自動車の企画部長、馬渡・菅井一郎に接近させる。どうやらタイガーにヤマトのスパイがいるらしい。小野田たちはヤマト自動車のデザイン部長が複写機(青焼き、ってところが時代だね)納入の際、業者・中条静夫から多額のリベートをもらったことをネタに脅迫する。 馬渡は関東軍の情報将校だった頃のコネクションをフル活用し、タイガーの新車第一号で鉄道事故を起こし欠陥車であるかのように宣伝。苦境に立たされた小野田は社内のスパイ、社長の婿養子・船越英二を糾弾しとうとう自殺に追い込んだ。 増村保造と言えば筆者的にはトイレだ。「動脈列島」で見せた汚物(小、ですが)がヒタヒタしている便器のアップで吐きそうになった筆者としては、業界新聞記者・上田吉二郎が田宮二郎たちをトイレに案内したとき、まさか田宮二郎がアレとツーショットなんてあったらどうしようかと思ったが、無かった。ああ、よかった。 田宮二郎がトイレからノゾキ。これだけでも筆者としては十分に悪趣味の範疇、と言うか田宮さんになんてことさせんのよ! 恋人の叶順子を菅井一郎に抱かせたところまではいつもの田宮二郎だったが、とうとう死者まで出すに至った産業スパイという身分に嫌気がさして会社を辞めてしまうというのは「らしく」なかった。そのぶん、叶順子のいつもの陰々滅々なムードがこの映画の最大の魅力ね。 菅井一郎に抱かれた後、決定的な情報を得て田宮二郎のところへ帰った叶順子が「あんたってケダモノね」と無表情で言い放つところにはシビレたね。落ちぶれて(と田宮は思っている)自分のところへ帰ってきた恋人を「あんたが人間に戻ったから」の一言で迎える度量の広さ。女が見てもこういう男らしい女にはマジで惚れちゃうぞ。 「巨人と玩具」で目的と手段がズッコケて最後に自爆するモーレツサラリーマンだった高松英郎は本作品でも「あんたそれじゃあヤクザだよ」と言いたくなる大活躍。だけどそもそも上田吉二郎なんかを信用した時点でどうかと思うぞ、見てるほうとしては。 菅井一郎の「元関東軍情報将校」もそれっぽくて良かったが、あんな若い娘がホイホイとなびくわけないジャン、くらいのことに気づけよバーカ!エロジジイ!プロは自惚れたら駄目、これ、教訓。 (2000年02月11日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16