海峡 |
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■公開:1982年 |
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きっと工事現場の人たちに「好きな俳優は誰ですか?」とかアンケートしたら高倉健が一番になるだろう、という理由で健さんが主演なんじゃなのでは? 北海道と本州をつなぐ青函トンネルの工事を描く。 洞爺丸事故をきっかけに、竜飛岬と白神岬をつなぎ津軽海峡の海底をトンネルで結ぼうという壮大なプランのため、国鉄職員でトンネル工事の技術調査のために青森県の竜飛岬に赴いた阿久津・高倉健は、地元の漁師・山谷初男や飲み屋の女将・伊佐山ひろ子らから親しみを込めて「トンネルさん」と呼ばれていた。 ある日、岬から投身自殺をしようとしていた女・吉永小百合を救った高倉健は、彼女を伊佐山のところへ預けて、一時帰郷。高倉健が、高齢の父親・笠智衆のために、許婚・大谷直子と結婚したと聞いた吉永小百合は大いに落胆する。 洞爺丸事故で生き残り養父・新田昌玄に育てられた少年、仙太・三浦友和は成長し、青函トンネル工事の作業員として就職すべく面接を受けるが、とても喧嘩早い性格のため一度は採用を見送られる。しかし、土性骨のあるところを高倉健に見込まれて張れてトンネル工事夫として、就職を果たす。 調査坑の工事は困難を極める。トンネル工事の大ベテラン・森繁久彌は南国の出身だったので、寒冷地での工事に難色を示していたが、これも高倉健の熱意にほだされ子分一同とともに全面協力を約束、出水続きの現場で腰まで水につかりながら陣頭指揮にあたってくれた。 高倉健の妻・大谷直子は進学する子供のために、なかなか夫のそばにいてやれないが、その間、かいがいしく世話をしている吉永小百合がまるで「現地妻」状態なのにかなりオカンムリ。父の危篤(後、死亡)にも帰郷しなかった夫にとうとう愛想をつかしてしまう。 恐れていた大事故が勃発、濁流にのまれた森繁久彌が奮死。多くの犠牲者を出しつつも、ついに開通した調査坑で高倉健は感激の涙にくれるのであった。 理系=高倉健が全然似合わない、ていうか板についてないのが笑える。顕微鏡覗くとき片目つむってンだもん!駄目じゃん健さん。それじゃあ何のために観察してるんだか分かンないって。 トンネル内で腰まで水に漬かった森繁が事故を心配して奥へズンズン歩いて行くシーンで、壁が崩壊して濁流にのまれそうになるところ。マジでヒヤヒヤしたもんね。でもさ、ちゃんと「頑固な老人を止める役」として、体重とクッションが満点そうな東野英心と、腕力ありそうな三浦友和が両脇をガッチリガードしてたから、いざ(撮影事故とか)となったらこいつら体張って森繁守るんだろうな、という感じで頼もしかった。 年寄りは大切に!っていう姿勢が良い(そういう映画か?)。 過去に事故で人殺しちゃった吉永小百合と、いかにも気が強そうな大谷直子のバトル。そこへ生粋の水商売系女優、伊佐山ひろ子が絡んでる。職業夫人 VS 専業主婦って感じ?男臭い映画だから付け足しみたくなったけど、それにしても小百合ちゃんの初登場が20代ってのは無理ありすぎ。同様に高倉健が30そこそこってのも、苦し過ぎ。 実はこの映画が完成した段階ではまだ青函トンネルって開通してないのよね。 国家的大プロジェクトとか言われつつも、「税金の無駄使い」やらなんやら陰口叩かれたりしていた青函トンネルだけど、完成したらみんな大喜びじゃん?良かったよねえ、ホント。あれだけデカイ工事なんだから、映画にもちょびっと出て来るけど相当、亡くなった人も多かったと思うし、怪我したり、そういう「新聞に出ない事故」がたくさんあったんだと思う。 新聞に出ようが出まいが、犠牲になった方々も含めて工事に携わった全部の人に対して心から感謝したくなるよ、この映画観ると。キレイキレイすぎる?でもさ、過酷なところをそのまんま出したら当事者にかえって失礼と思うのよね。映画のなかで、高倉健が泣きながら「ありがとう」って言うところでね、本当にジーンと来るわけ。 こういう、時間を経て見方が変わる映画ってあるよね。当時はそうでもなかったけど、ちゃんと開通した今は本当に心からの「感謝」の気持ちが湧いてくる映画になっていた。お客さんて勝手なんです。 (2000年02月04日) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-05-16