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魔の刻(とき)


■公開:1985年
■制作:東映セントラル
■監督:降旗康男
■助監:
■脚本:田中陽三
■原作:
■撮影:
■音楽:
■美術:
■特撮:
■主演:岩下志麻
■寸評:


 実の母親・岩下志麻と肉体関係を結んだ一人息子・坂上忍が、その母親とかけおちしようとしたが断わられ、ヤケを起こしてド田舎のとある港町に住み着く。ちょっとイイ男である息子は、そこで漁船の船長の娘・岡本かおりに惚れられたが、彼女には婚約者・山田辰夫がいたため、山田のパシリに刺されて負傷する。

 息子が飛び出した後、志麻は、世間体をはばかり離婚をしたがらないエリートの夫・神山繁と決別するために、その亭主に買ってもらったアウディをぶっとばして息子の後を追いかけ、猫なで声で息子に甘えてヨリを戻そうとする。最初はイヤがっていた息子であるが、美人の志麻が他の男とくっつきそうになると急にヤキモチを焼いたりするので未練タップリの模様。

 バイクを乗り回す岡本かおりが、息子と志麻の逢引現場に乱入。岡本かおりが、かわいい顔の割には「オバンは歳相応の男を選べ」だのなんだの無礼で下品で、生意気で、すげーヤな女だったため、怒った志麻は、見舞に来た彼女をけんもほろろに追い返し、昼間っから息子とイチャイチャしまくる。

 小さい頃からちやほやされて育った岡本は、年増女に負けたのがよほど悔しかったのか、志麻の留守を狙って息子を誘惑しバイクで連れ去る。

 そんなお馬鹿な息子でもベタ惚れ志麻は「若いだけの尻軽女」からの息子奪回に燃え、逃げる息子に追いすがり抱きすくめる。で、この息子も主体性の無いただのマザコン野郎だったので、そのまま志麻に抱きつき返すのだった。怒った岡本の「悪口言いふらし作戦」(推定)により近親相姦のうわさは小さな町にあっというまに広がった。

 それだけでは飽き足らない岡本は、これまた金でつったと思われる田舎の暴走族集団を引き連れて志麻のアウディを襲撃し、父親の金と権力で男漁りの末、山田辰夫と二股かけた自分の事を棚に上げて、志麻を「ケダモノ」呼ばわりし、仲間に命じて強姦でもするのかと思ったら、そこはそれ、田舎の娘っ子であるから大したことなんかできないわけで、隠しもっていた生卵を雨あられと志麻に投げつけたのだった。

 ただし、さすがに畏れ多かったのか、一発も志麻の顔面を直撃することはなかった、というところがミソ(そうだろうか?)。

 志麻はついに息子を諦めたのか、妻と義母の殺害疑惑をかけられている中年の薬剤師・岡田ジュニア裕介と、田舎のホテルのディスコ喫茶で突如、タンゴを踊り出すという奇策を打つ。そしてその夜、息子以外には燃えないはずだった志麻は、岡田ジュニアと肉体関係を結ぶ。満足した岡田ジュニアは、刑事・伊武雅刀の追及を逃れるために、海に身を投げてしまう。

 翌朝、町を去る志麻の車を、岡本から借りたバイクで追いかけてきた息子。「おふくろ!」「俺を見捨てるのか!」とかなんとか、私が父親だったら鼻が折れるまで殴ってやりたいような軟弱野郎ぶりをさく烈させる息子に向かって、志麻は笑顔でバイバイを告げた上に、強引な幅寄せをして息子のバイクをはね飛ばす。

 そうまでされても、まーだ懲りない、馬鹿息子の「おふくろー!」という咆哮が草っぱらに空しく響き、映画は終る。

 岩下志麻と岡本かおり、女の風上にも置けないような腐れキャラ。その二人に惚れられてニコニコしちゃう、坂上忍なんても、もう、こりゃ宇宙の果てまでブッ飛ばしてあげたくなるほど。

 とにかく岩下志麻は、人の親には絶対に見えないという希有な女優なんだから、ま、それだけでもメインテーマが「母性」である本作品が確実にキワモノになるのは目に見えていた。

 岩下志麻の口から「わたし、どうしていいのかわかんな〜い」っていまどきの女子中学生でも言わないような台詞が次々に飛び出すと、客はただただ狼狽するのみなのだ。こりゃ「この子の七つのお祝いに」のセーラー服のお志麻さんを超越したかも?

 岩下志麻の大胆なベッドシーンとキテる芝居がいっしょくたに堪能できるキワモノの一品、っていうかお志麻さんがすでにキワモノという感じがしないでもないが。

1999年11月09日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-31